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ミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』アダム・クーパー取材会

2022年1月22日(土)~2月13日(日)渋谷・東急シアターオーブにて、2月18日(金)~2月21日(月)大阪・オリックス劇場 にてミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』が上演を予定している。

14トンの雨が降り注ぐステージで、アダム・クーパーが歌い踊る本作。
コロナ渦がなければ、英国のサドラーズ・ウェルズ劇場と日本の東急シアターオーブで昨年夏・秋で上演予定だったが、今夏にはロンドン公演が実現。そして、いよいよ来年1月に日本での3度目(大阪では初)の公演が実現する。(ロンドン公演の好評を受けて2022年春~夏のイギリスでのツアーも決定している)

★★SITR21-251 Adam Cooper in Singin’ in the Rain

2011年から主役のドン役を演じ続けているアダム・クーパーが、ネットを通して取材に応じてくれた。
長い自粛期間を経てやっと実現したロンドン公演について、そして日本公演へかける思いを聞いた。

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―夏にロンドンでの公演が行われましたね。公演が再開したときのお気持ちはいかがでしたか?
言葉にできないような気持ちでした。また舞台に帰ってこられた、自分たちが好きなことができているということで、どこかほっとしたというのが一番大きな感情だったと思います。
お客様からも、劇場に戻ってこられてすごくうれしいという気持ちがすごく伝わってきました。
『SINGIN’ IN THE RAIN』という作品は、今上演するのにとてもふさわしい作品だと思います。喜びやユーモアや愛にあふれている作品なので、お客様が喜びや希望を持って劇場を後にできるだろうと思います。初日は劇場全体に電気が走ったような盛り上がりを見せて、それが公演中ずっと続きました。

―自粛期間はアダムさんにとってどういう時間でしたか?
舞台に立てない時間は大変な時間でした。実は最初の数か月はそう大変ではなくて、むしろ今までできなかったのでゆっくり休むことができ、旅が多くて家族と過ごせなかったので、一緒に過ごせて良かったと思っていました。でもその後にだんだんつらくなってきました。僕は舞台人なので、舞台にいることが人生でしたから、それができないのは自分の存在価値が半分無くなるような感じでもありました。家族と一緒にその状況を乗り越えました。
この『SINGIN’ IN THE RAIN』をロンドンと東京という僕が一番好きな2つの場所でできることが、トンネルの先に光があるように、僕に希望を与えてくれていました。すべてが落ち着いたらロンドンと東京で公演ができることが、良いモジベーションになりました。

―コロナ禍の影響で、お稽古の進め方も変わったと思いますが、大変だったことは?
以前とはかなり変わりました。稽古場でも他の人とは距離を保たねばならなくて、椅子に座っているときも他人とは離れていましたし、毎日稽古場で検査をしました。本番では、ステージを降りると楽屋に行くまでにマスクをしなければならず、♪Singing’ In The Rain のようなハードなダンスナンバーの後にすぐマスクをつけるのは、とても息苦しくて大変でした。でも公演できることが嬉しくて、それらは些細なことに感じて気になりませんでした。感染リスクを避けけるために、稽古場と家の往復しかせず、稽古以外の活動はしませんでした。大きなトラブルなく千秋楽まで公演できたのは幸いでした。

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―今回の来日についてのお気持ちは?
本当に楽しみにしている一言です。待ちきれないです。この日本公演については、4年前からずっと話してきたので、やっと行けるのが嬉しくて、難しさは感じていません。日本に行けそうだとホッとしています。
今回は稽古期間を長くとれたので、今回が今までで一番良い状態にあります。2011年の初演以来、こんなに長く稽古して本番に臨むのは初めてなので、今年のカンパニーにとっても、とてもよかったと思います。良いキャストがそろっていて、みんなが日本に行くのをとても楽しみにしています。我々が日本に足を踏み入れるのは、大きな瞬間になるのではと思っています。

★SITR21-011 Kevin Clifton, Adam Cooper, Faye Tozer & Singin' in the Rain company

【photo by Manuel Harlan】

―今回の公演では、前2回の来日公演と違いはありますか?
僕自身については、再演の度に新しいドン像を作ろうとしています。通常の再演だと1週間から10日ほどの稽古で本番を迎えることもありますが、今回は5週間の稽古期間があったので、キャラクターや、全シーンを細かく見直しができたのは大きかったと思います。
ドンは皆に好かれるキャラクターで、今回もそれを目指しました。キャシーと最初に会うシーンでは、世界的な MeToo運動もあったので、対決感を出さない真心ある感じに変わったかなと思います。
僕の解釈は周りの俳優によっても変わってきます。今回はキャシー役を演じるシャーロット・グーチさんのキャシー像を見て僕の解釈も変わってきていると思います。ドンのもろさが、今までよりも少し大きくなっていると思います。作品自体は、過去2回とあまり変わっていません。素晴らしい作品を変える必要があるでしょうか。(笑)

―ドンのもろさが大きくなったという変化の理由は?
キャシーと稽古をする中で変わったことです。キャシーはドンが実は自信がないこと、サイレント映画に出演してきたけれど、本当になりたい俳優にはなれていないことを見抜いています。公園のベンチでドンとキャシーが話すシーンで、キャシーがドンのその弱さを見つけます。今までは追及してこなかった部分ですが、稽古する中で出てきた変化です。

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―歌って踊ってのステージはハードだと思いますが、体調管理で気をつけていることは?
第一は睡眠をしっかり取ること。稽古場にいないときは休むこと。声も体も多くを求められる役なので、すごく気を付けています。
ただ、この役は初演から僕が演じていて、僕のために作られたステージングなので、自分にとっては自然にできる役でもあります。自分自身のコンディションを維持していれば、それほど大変ではないので、自分を維持することが大切です。例えばマッサージを定期的に受けることや、公演中はしっかり休むために、他のことは最小限しかやらない…などです。

―ハイライトシーンの雨の中で踊る♪Singing’ In The Rainついて、どのように感じておられますか?
パフォーマーとして舞台で踊るのは、一番の喜びです。絶対に厭きることはなくて、いつまでも踊れるほど喜びにあふれたナンバーです。1幕の終わりにくる曲でもあり、一番有名な曲です。この作品では水にも振付があるように見える作品だと思います。そんなところが素敵だと思っています。
お客様の反応も、公演ごとにまったく違っていて、それも面白いし素晴らしいことだと思います。
今回は照明に変更があったので、それに伴って少し変わったところがありますが、基本的には変わっていません。素晴らしいものなので、変える必要がありませんでした。

★SITR21-235 Adam Cooper in Singin' in the Rain

【photo by Manuel Harlan】

―♪Singing’ In The Rain の他に、お気に入りのシーンは?
たくさんあって、難しいのですが、ひとつはキャシーが梯子をのぼって会いにくるところです。二人の関係が発展する場面で歌にもつながっていきます。とても素敵なシーンで好きです。
もうひとつ、コズモと一緒のシーンもとても楽しくて好きです。

―「公演は観客とつくるもの」とも聞きますが、日本の観客について印象に残っていることはありますか?
日本のお客様は、初めて来日したときから変わらず応援してくださっていて、とても有難く思っています。最初はバレエダンサーとして、その後は自分のプロダクションをいくつか、それから『兵士の物語』や『SINGIN’ IN THE RAIN』で何度も日本を訪れています。
お客様の反応によって、その日の作品も変わってくるので、毎回違う、毎日違う公演になるので、お客様の存在は大きいと思っています。
日本のお客様は僕の旅路のようなものに、いつもポジティブな感じでついてきてくださっているのが、とても有難いです。だから日本に行くのがすごく好きですし、何度も行きたいと思います。

★SITR21-128 1 The Singin' in the Rain company

【photo by Manuel Harlan】

―ドン役は周りの俳優によっても変わるとのことですが、ご自身が年齢を重ねることの影響はありますか?
年齢を重ねることでの変化は、経験値が違うだけだと思います。プロダクションやキャラクターについて、より深く知って演じることができます。僕自身は、10年前に比べて変わらない、あるいは良くなっていると思います。アプローチの仕方は10年前から変わっていません。

―バレエダンサーとして出発されたアダムさんですが、ミュージカルでのダンスの難しさは?
バレエとミュージカルのダンスは全く違います。ひとことでミュージカルのダンスといっても、作品によって様々なスタイルの踊りがあります。
バレエダンサーはバレエしか踊らなくてよい、特化されたスキルです。ミュージカルは『SINGIN’ IN THE RAIN』なら、僕はタップダンス、ジャズ、バレエ風のダンスと、何種類ものダンスのスキルが必要です。バレエダンサーはなくてよいけれど、ミュージカルでは踊った直後にしゃべったり歌ったりしますし、それもスキルが必要です。そんな違いがあります。

★SITR21-359 Adam Cooper and Charlotte Gooch in Singin’ in the Rain

【photo by Manuel Harlan】

―バレエ経験がミュージカルで活かされていると思う部分は?
バレエ経験があることで、使われ方が特別になってくると思います。踊りではパ・ド・ドゥ(2人の踊り)ができること、バレエ経験がないキャストの場合より振付がバレエ寄りの振付になることですね。

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―『SINGIN’ IN THE RAIN』はとてもハッピーな作品です。アダムさんの最近のハッピーエピソードを教えてください。
それは本作が上演できていることです。この作品に出演し上演して、お客様と作り上げている感覚は、何ものにも代えがたいものです。僕はこのミュージカルを何度でも上演したいと思います。ある意味、やみつきになっているのかもしれませんね。

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『SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』
アダム・クーパー特別来日 日本公演

音楽:ナチョ・ハーブ・ブラウン、アーサー・フリード
演出:ジョナサン・チャーチ
振付:アンドリュー・ライト

出演:
アダム・クーパー
シャーロット・グーチ
ほか

<東京公演>
日程:2022年1月22日(土)~2月13日(日)
会場:東急シアターオーブ
料金(全席指定・税込):
ハッピーレインシート 20,000円(前方5列目までのお席、特製ポンチョ(非売品・当日引換)付)
S席15,000円 A席12,000円 B席9,000円
U-25 6000円
(25歳以下対象・当日指定席券引換・要身分証明書/ホリプロ、チケットぴあ、Bunkamuraにて前売り販売のみの取り扱い)

<大阪公演>
日程:2022年2月18日(金)~2月21日(月)
会場:オリックス劇場
発売日:2021年11月14日(日) 10:00~
料金(全席指定・税込):
S席 15,800円 A席 7,800円 B席 5,800円
SS席(特典付)21,000円(SS席は特製パーカー(非売品・当日引換)付となります)

公式サイト:https://singinintherain.jp/