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ゴージャスなおせちを頂くよう!! 万葉集meetsミュージカル『令和にそよぐ風 ~若き歌詠みの物語~』開幕!!

2020年1月2日(木)東京国際フォーラムホールB7にて『令和にそよぐ風 ~若き歌詠みの物語~』が初日を迎えた。山本耕史、市川染五郎、尾上菊之丞、新納慎也、夢咲ねねという多彩な出演者が、和洋楽器のコラボにのせて見せるのは、万葉の昔から現代までの人々の恋・愛・そして人生。
万葉集の歌の美しき響き、胸に突き刺さる歴史的恋物語、歌舞伎の華やかさやかっこよさ、ロックの迫力から性差も時代も超える愛の切なさ…と、お正月に相応しい盛りだくさんな内容に、心揺さぶられっぱなしの80分。令和2年、日本に暮らすことの楽しさを、改めて感じさせてもらえる年の初めの公演となった。

全員
左2番目から) 夢咲ねね 尾上菊之丞 山本耕史 市川染五郎 新納慎也

東京国際フォーラム開館20周年事業として2017年に初開催した日本文化を紹介・体験するイベント「J-CULTURE FEST」のプログラムの一環としての本公演は、日本が誇るエンターテイメント、歌舞伎・ミュージカル・宝塚・舞踊という多彩なジャンルに、「令和」の出典となり注目が集まる『万葉集』が融合。観客をタイムトラベルともいえる夢の世界にいざなってくれた。 (以下は、ネタバレを含みます。ご注意下さい)

右_山本_左_市川
左から 市川染五郎 山本耕史

オープニングの新納慎也、夢咲ねねによる♪「令和にそよぐ風」で、観客は一挙に万葉集の時代にタイムトリップ。音楽と豪華な衣装が、魔法をパワーアップしてくれる。

続く額田王(夢咲ねね)の♪「紫ににおう花〜香具(久)山」(『あかねさす紫の花』(宝塚歌劇団)より)、大海人皇子(山本耕史)・中大兄皇子(新納慎也)による♪「恋の歌」(『あかねさす紫の花』(宝塚歌劇団)より)に、この歴史的三角関係に胸刺される。

額田王をめぐり中大兄皇子と大海人皇子とに散る火花・・・。是非とも、フルバージョンでの公演をお願いしたい!!

額田王が去った後、山本耕史が歌うのは、♪「The Origin of Love」(『Hedwig and the Angry Inch』より)!予想外の展開に驚愕し、かつて山本が演じたヘドウィックの姿が頭をよぎるも、その歌は深く大きく観客を包み込み、より広い世界に誘ってくれた。

集合

ここから、お話はさらに大きな展開へ。歌よみを志す青年(市川染五郎)と共に、富士山へ、浦島太郎伝説へ。
時に観客は令和に引き戻され、キャストとの楽しいやりとりやコメディタッチの逸話を楽しみながら、時空を駆ける。

難しいと思っていた万葉集の歌が、耳と目と、そして音楽と共に入ってくると、なぜか心に沁みてくる・・・。

尾上菊之丞の豊かな歌声に酔い、市川染五郎が見せる初の九字真言(勧進帳)に目を見張る。

 

中央_山本

山本のドラムやエレキギターの演奏や、キャストたちと和洋楽器の競演では、ロックやジャズの楽しさに心躍り、美しい衣装の数々に心奪われる。

山本&新納による♪「What You Own」(『Rent』より)では立ち上がりたくなり、山本の♪「Midnight Radio」(『Hedwig and the Angry Inch』より)ではするすると手を挙げたくなるのを必死に堪える。

多くの万葉歌と夢咲ねねの優美な舞踊に、古からの多くの人々の命を感じ、自然と新たな年を迎えられたことへの感謝の念がわきあがってきた。今後の「J-CULTURE FEST」の企画にも、大いに期待したい。

ゴージャスなおせち料理を頂くような、盛り沢山な年の初めの公演は、2020年1月3日(金)まで、東京国際フォーラム ホールB7にて上演。

<公演概要>
【公演名】万葉集meetsミュージカル『令和にそよぐ風 ~若き歌詠みの物語~』
【公演日程】2020年1月2日(木) 16:00開演  1月3日(金) 13:00開演/17:00開演
【会場】東京国際フォーラム ホールB7

【演出・振付】尾上菊之丞
【脚本】戸部和久
【音楽・ピアノ】大貫祐一郎
【邦楽アドバイザー】藤舎貴生
【装束衣装】井筒企画
【出 演】山本耕史、市川染五郎、尾上菊之丞、新納慎也、夢咲ねね
【日本舞踊】花柳喜衛文華、藤間京之助
【演奏】大貫祐一郎、藤舎貴生、高畠一郎、吉井盛悟 他

【主催】東京国際フォーラム
【後援】外務省、東京都、東京商工会議所、千代田区、公益財団法人東京観光財団、J-WAVE
【企画制作】NHKエンタープライズ
【制作】井筒企画/井筒東京/オズエンタテイメント

<出演者コメント>
山本耕史
稽古時間が限られていてタイトな中、皆でいろいろ考え一歩、二歩先を想像しながら進めてきました。今回の舞台の衣裳が本当に豪華で、目でも楽しんでいただけると思います。伝統芸能の方々とのコラボもあり、万葉集の世界ですが英語で歌うナンバーもあり、一度でいろんなことが楽しめる作品です。

市川染五郎
歌舞伎以外稽古時間が短かったですが、一カ月ぐらいしたような気持ちです。それだけいろんなことを少しずつ加え、いろんな風に変えていきました。それを本番ですべて出し切りたいと思います。自分の見せ場としては、やはり勧進帳の場面と、通常のお稽古でも大好きな鼓を打ちながらみんなでセッションする場面がとても楽しいです。

尾上菊之丞
お客様に飽きずに約80分、観通していただけるように創り上げました。音楽にのって言葉のリズムを楽しんでほしいです。難しい内容ではないので、この作品を機にさまざまな文化に興味を持っていただければと思います。

新納慎也
令和初のお正月、おめでとうございます。稽古は短くどういう舞台になるのだろうか?と思いましたが、無事に初日を迎えます。衣裳がとにかく豪華!!お正月のお祭り気分でご覧いただければと思います。稽古後半でミュージカルのソロナンバーを歌わないですか?と言われたときに、それなら以前からファンだった山本さんと一緒に『Rent』のナンバーを歌いたいリクエストしました。ここが自分にとって趣味の時間でもあり見どころです(笑)

夢咲ねね
稽古時間が短く幕があがるのか不安でしたが、全員その道のプロの方々でしたので安心できました。宝塚時代に侍女として出演していた作品の楽曲がありますが、ミュージカル界で有名なお二人に自分を取り合っていただけることはとても幸せです。お客様も額田王の気持ちになってご覧いただければと思います。

<ストーリー>
初春。歌よみを志す青年がいた。
青年は、ありのままの心や、ありのままの美しさを詠んだ万葉の歌よみに心を寄せる。
青年の目には大宰府にほころぶ梅が浮かんだ。その梅が風に吹かれて舞うと、どこからともなく老人が現れ、青年は誘われるままに万葉の世界へと旅に出る。
歌に詠まれた津々浦々、四季折々の万葉集の世界を巡りつつ、時に額田王のような王朝人に、時には中大兄皇子に、柿本人麻呂に、そして防人など様々な歌人に出会い、万葉集の世界に触れて行く。
そこには私たちの心の源流があり、その流れは今を生きる若き歌よみの中に受け継がれている。

<セットリスト>
①「令和にそよぐ風」  歌:新納・夢咲 (作詞:戸部和久 作曲・編曲:大貫祐一郎)
②「紫ににおう花〜香具(久)山」   『あかねさす紫の花』(宝塚歌劇団)より 歌:夢咲
③「恋の歌」   『あかねさす紫の花』(宝塚歌劇団)より  歌:山本・新納
④「The Origin of Love」   『Hedwig and the Angry Inch』より  歌:山本
⑤「富士の高嶺」   歌:尾上 (作詞:戸部和久 作曲・編曲:大貫祐一郎)
⑥長唄「浦島」   歌:藤舎  (作詞:戸部和久 作曲:藤舎貴生)
⑦「蟹口言葉」   歌:新納・夢咲 (作詞:戸部和久 作曲・編曲:大貫祐一郎)
⑧「蟹喰楽」(かにくいらく)   歌:新納・夢咲・尾上 (作詞:戸部和久 作曲・編曲:大貫祐一郎)
⑨山本耕史一人バンド&全員でのセッション
⑩「What You Own」  『Rent』より   歌:山本・新納
⑪「令和にそよぐ風」(和洋楽器演奏)  (作曲・編曲:大貫祐一郎)
⑫「枕刀」 (まくらたし)  歌:夢咲 (作詞:戸部和久 作曲・編曲:大貫祐一郎)
⑬「Midnight Radio」    『Hedwig and the Angry Inch』より  歌:山本
⑭「令和にそよぐ風」   歌:全員(作詞:戸部和久 作曲・編曲:大貫祐一郎)
①⑤⑥⑦⑧⑪⑫⑭はオリジナル曲