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河瀨直美総監督、「この映画を若い世代の人たちの教科書にしてほしい」『東京2020オリンピック』製作報告会見

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『東京2020オリンピック』の製作報告会見が3月24日、東京・竹芝ポートホールにて行われ、総監督を務める河瀬直美が登壇した。

1964年以来の東京での開催となった夏季オリンピック。2013 年に歓喜の声に包まれた開催決定の一報の時には、想像もしていなかった新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延が 2020 年、世界中を包みんだ。そして、2020年3月24日、第32回オリンピック競技大会は、史上初めての延期が発表された。

2021年夏、いまだ収まらないコロナ禍、史上初 のほぼ無観客開催の決定、そして関係者の辞任。開催に賛否両論がある中で迎えた東京 2020 オリンピックは、7月23日より17日間にわたって、オリンピック史上最多となる 33 競技 339 種目が実施された。

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1912年、第5回ストックホルム大会以来、撮り続けられているオリンピック公式映画。今回、その監督に選ばれたのは、『萌の朱雀』『殯の森』『光』など数々の映画で世界的にも評価の高い河瀨直美。異例の大会とその開催に至るまでの 750日、5000時間に及ぶ膨大な記録を元に、日本、そして、世界中から集ったアスリートたちや選手の家族、大会関係者、ボランティア、医療従事者、会場の周囲に集う人々、オリンピック中止を叫ぶデモ参加者などの姿。その情熱と苦悩、ありのまま全てを余すことなく後世に伝えるために、映画監督・河瀨直美によって2つの公式映画が製作される。

本作は、異なる視点からの2作品となる。1つは、表舞台に立つアスリートを中心としたオリンピック関係者たちを描いた「東京 2020 オリンピック SIDE:A」(6月3日公開)。そして、大会関係者、一般市民、ボランティア、医療従事者などの非アスリートたちを描いた「東京 2020 オリンピック SIDE:B」(6月24日公開)だ。

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『東京2020オリンピック SIDE:A』と『東京2020オリンピック SIDE:B』の総監督である河瀨直美が、2作品となった経緯や本作品に込める想いを語った。

河瀨監督は、『東京 2020 オリンピック SIDE:A』の内容について、「日本のみならず世界中から参加してくれたアスリートたち。国の代表としての重荷を背負わなければならない人たちがいたことを丁寧に描いています。競技者には結婚、出産を経てこの場に戻ってきた人たちもいる。目先の勝利に関わらず、メダルをとれなくても人生の勝利者となった人にフォーカスを当てています」と明かした。

『東京2020オリンピック SIDE:B』については、「アスリートがメダルを取れるか否かは本当に些細な差。アスリートを刺させてきた人の類まれな時間があると思います。かつて選手だった人が今は監督として、組織委員として東京に戻ってくるために、どれだけの作業と努力とコミュニケーションを持ったかを伝えていきたい」と、影の力となった人たちにフォーカスを当てたことを吐露。

開催に至るまでの様々な問題にもこぼすことなく撮影したという監督。想像を超える時間とスタッフの人数、それに伴う体力・・・大変な作業はまだ終わっていないと言う。

また、「今回のオリンピックで悔しい思いもした」と話す監督。「本来なら子供たちの本当の目で(直接、選手たちの活躍を)観てもらえなかったこと。選手たちの輝きを目の当たりにしたあとに、『私もこんな選手になりたい』という子もいたと思う」と残念がる。そして、「人間の心模様を映画にしたつもりです。アスリートの素顔を通して伝えることができると思います」と期待を込め、「特にこの映画をすべての若い世代の人たちに観てほしい。私たちの選択が正しかったのか、間違っていたのかも含めて、次の世代の人たちが一つの教科書のような形にしていただけるとありがたいと思います」と思いの丈を語っていた。

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『東京 2020 オリンピック SIDE:A』『東京2020オリンピック SIDE:B』
全国東宝系にて2022年6月3日(金)、6月2日(金)2作品公開!!