米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショートフィルムフェスティバル& アジア(略称:SSFF & ASIA)2025にて、映画祭史上初となる「ホラー&サスペンスカテゴリー」が新設され、5月30日、表参道ヒルズスペースオーにて『SSFF & ASIA 2025恐怖と悦楽の境界線!上映&トークイベント』を開催。特別ゲストとして、ホラー好きで知られる俳優の生駒里奈と、人気YouTuber都市ボーイズのはやせやすひろが登壇した。モデレーターは四宮隆史(株式会社CRG代表取締役CEO/弁護士)と、福本哲生(株式会社CRG/エージェント)が務めた。
イベントでは、SSFF & ASIA 2025 ホラー&サスペンスカテゴリーの頂点を決める「最震賞supported by CRG」に輝く最終ノミネート11作品の中から最終ノミネートの4作品が上映され、各作品の監督も登壇(仲里依紗監督はスケジュールの都合で欠席)し、それぞれの作品についてトークを展開。 四宮は「ホラーというと『リング』や『エクソシスト』のイメージがあるが、必ずしも“お化け”が出てくるわけではないが、ゾッとしたり、これは何を描こうとしているんだろうと深く考える作品だったり、非常に短いが凄くおもしろかったりと楽しめる作品」と評した。
「最震賞」の定義は、独自の世界観を持っている独自性、物語に観る者を引き込む中毒性、そして最も怪異的な気持ち悪さを持つことの3項目を兼ね備えた作品となる。
生駒は「いつの間にかホラーが好きになっていた私がいて、今日はとても楽しみにしていました」と笑顔を見せ、監督たちに質問をするなど熱く感想を語っていた。
統合失調症を患う元中央官庁職員が見る世界を描いた『茄子の丑』のChavo監督。物語のテーマは「生と死の境界線でその人が観る世界」。福本から「独特なカラーが素晴らしく、世界観に入ることができ、特に音を大切にされている」と評されると、Chavo監督は「最初は海外の映画祭用に作品を観たあとに説明文を読みたいとなるような作りにしようと考えました。物語にないものに対してもホラージャンル系をつけることによって、最後までしっかり観ることができるようになるんじゃないか」と述べ、監督の友人が総合失調症になったことからヒントを得たという。生駒も「怖い話の中には、心の病からお化けに例えて話している人の話を怪談としているものに似ている感じがした」とコメントした。
殺害を犯してしまった恋人を助けるため、その死体を穴に捨てようとする男女3人の物語を描いた『ABYSS』野上鉄晃監督。福本は「ラストの描写が良かった。その後の2人の女性がどうしているのかを観客に考えさせる余白の部分が凄くいいポイント。懐中電灯の照明も没入できて引き込まれる」と評価。独特なストーリについて「ある時、島をロケハンしているとおじさんたちが、嘘か本当かわからない話をしてくるんです。その話がとても興味深くて、民話のような話を作りたいと思ったんです」と作品の着想を明かす野上監督。「残虐的なんですが、ザワザワさせるような話。残虐でありながら、矛盾、断絶、飛躍というものが滲み出てくるような作品になれば」と期待を込める。
はやせは、「凄く恐ろしい話ではあるんですが、登場人物の行為の矢印が面白い。死体には全く興味がないけれど、人には興味があったと見られた」と感想を述べた。そして、「うちの妻がストーカーされたんですが、実家に入られて靴だけ置いて逃げていったんです。今日はそのスニーカーを履いてきました」と言い、会場を驚愕させる場面も。
俳優の仲里依紗が監督し、主演のロバート秋山の眼力に震える『撮影/鏑木真一』で、秋山演じるゴシップ誌のカメラマン・鏑木が、あるスクープ写真を撮ったことから恐怖に襲われる姿に、生駒は「俳優からしたら“撮られる”ストレスは凄くあるし、芸能人はこういう気持ちを抱えている。でもカメラマンとしたら自分が撮ったことで・・・そうなったらああなるのかなと。仲さんが上手に表現されている」と、自身の立場と重ねてコメント。続けて「仲里依紗さんが大好きで、YouTubeで情報でも仲さんの情報をゲットしていますので作品を観れて凄く嬉しいです」と微笑んだ。
SNSの投稿に「いいね」をしたことから始まる恐怖を描いた『Twitter』の中村好伸監督。四宮は「もの凄く短尺で一番ホラーっぽい作品。低予算感丸出しの潔さも良かった」と絶賛。表現方法や工夫したことを聞かれた中村監督は「僕はスチールカメラマンの仕事もしていますが、いざ“映画”を制作しようと思うととてもハードルが高い。ところが、海外では低予算で自宅で撮って奥さんが出演している作品もあるんです。そういう規模でやってもいいんだと思いました。そして、最近はネット詐欺など、入口はわからないけれど、何かをしたら大きな犯罪に加担していたということも起きていて。そういう意味で一番誰もがしてしまいそうな“いいね”から発想しました」と、映画制作に挑戦した経緯を話した。生駒は「今のネット時代になったからこそ起こりうる話。こんなに怖くない投稿がお化けになるんだ・・・という意外性もあって、ワクワクして観ました」と感想を述べた。
また、生駒とはやせは友人としても付き合いがあるそうで、生駒は「(はやせの)家にも行かせていただいて、ビビり散らかして帰ってきました(笑)。ここに人が住んでるの?というくらい呪物があって・・・」と回顧。はやせが「日用品は倉庫に預けています」と明かすと、生駒が「普通は逆!」とツッコミを入れ笑い飛ばす場面も。
さらにイベントでは、はやせが自身のコレクターである呪物を一部持参し、会場で披露。魚の腹から出てきた小さな仏像や、1700年代に日本で流布されていた呪いの本、インドネシアの首狩り族の呪術書など、貴重な呪物を披露し呪物となる所以を説明し、会場を呪術の世界にいざなっていた。
なお、「最震賞supported by CRG」は最終ノミネート作品の中から、6月11日のアワードセレモニーにて発表される。
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2025(『SSFF & ASIA 2025』)は、5月28日(水)から6月11日(水)に東京都内各会場およびオンライン会場にて開催中。オンライン会場は6月30日まで開催。
■オフィシャルサイト:https://www.shortshorts.org/2025
■主催:ショートショート実行委員会/ ショートショートアジア実行委員会