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映画『マイスモールランド』完成披露試写会、嵐莉菜・奥平大兼登壇!「一生の宝物のような作品です」

『万引き家族』×『ドライブ・マイ・カー』スタッフが贈る国境を越える感動作
【第72回ベルリン国際映画祭/アムネスティ国際映画賞・特別表彰】

『マイスモールランド』

注目の10代《嵐莉菜》《奥平大兼》が登壇!
「一生の宝物のような作品です」

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是枝裕和監督が率いる「分福」気鋭の新人監督・川和田恵真監督による商業映画デビュー作であり『万引き家族』×『ドライブ・マイ・カー』スタッフが手がけたことでも注目を浴びる作品『マイスモールランド』(5/6公開)。在留資格を失い、普通の高校生としての日常が奪われてしまった17歳の在日クルド人の主人公サーリャ(嵐莉菜)が理不尽な社会と向き合いながら、自分の居場所を探し、成長していく物語を描いた本作。

4月11日、都内にて完成披露試写会が開催され、主演の嵐莉菜、奥平大兼、川和田恵真監督が登壇した。
嵐莉菜【初】主演であり、川和田恵真【初】監督、そして、世界三大映画祭の一つであるベルリン国際映画祭において日本【初】のアムネスティ国際映画賞からの《特別表彰》栄誉など<初>だらけ!のフレッシュなイベントとなった。

<イベントレポート>
ViVi専属モデルとして活躍中の現役高校生でありながら、映画初出演にして見事初主演を務め上げた嵐莉菜。自身も5カ国のルーツを持ち、ほぼ演技未経験ながら本作にはオーディションで選ばれた嵐は、最初「演技の先輩が多い現場で、足を引っ張ってしまうんじゃないかという不安は常にあった」と言う。しかし「この役を絶対演じたいという気持ち」でやり切ったと、撮影を振りかえり、続いて映画『MOTHER マザー』で新人賞を総なめ!続々と話題のドラマにも出演し大活躍、本作が映画出演2作目となる18歳の奥平大兼も「やっぱり自分は映画で始まった身というのはすごく自分の中で意識があったので、二年ぶりに映画に戻ってきたなというのはすごく感じていて」と感慨深く語り「だからこそすごく意気込んじゃったりとかもあったんですけど、でもやっぱりクランクイン前はすごく楽しみでしたね」と明かした。そんな2人の話を受けて、キャスティングの理由を明かした川和田監督。

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嵐に関しては「莉菜さんは華やかなイメージでしたが、実際に会って『自分は何人だと思いますか?』というデリケートな質問をした時、すごく複雑な心境を話してくれたんです。それが、サーリャが<抱えるもの>につながっていくのを感じて、彼女であればこの作品を一緒に作っていける」そして「そのあとお芝居を観させていただいて本当に驚きというか、本当に最初から彼女は堂々としていましたし、全然違った表情を見せてくれたりしたので、彼女とであればこの作品をやっていける」と確信したと言う。

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奥平に関しては「オーディションに来てくれた時に、今は結構大人になったなと思うんですけど、あの時はすごく長い袖の服を引っ張っているような、もうちょっと幼かった印象で。まだ青年になり切っていない青年というか、そこがいいなと思って」「このサーリャの複雑さを受け止める演技、聞いていく役割として、奥平さんが持っている素朴さだったり、フラットさがすごく大事になるな」と、それぞれのキャスティングの決め手を語った。

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現場での嵐についても語った川和田監督。「すべてサーリャのシーンですし、出ずっぱりで、初めてで大変だったと思います、でもそれを感じさせない天真爛漫な姿でいつも堂々とカメラの前に立ってくれて。シリアスなシーンも多かったり、精神的につらい時もあったと思いますけど、自分の感じたことを伝えてくれたので、私も自分の思いを伝えながら2人でサーリャを作り上げていった感覚でした」と思い返した。

最後、嵐莉菜【初】主演であり、川和田恵真【初】監督、そして、世界三大映画祭の一つであるベルリン国際映画祭において日本【初】のアムネスティ国際映画賞からの《特別表彰》栄誉など<初>だらけのフレッシュなキーワードが揃ったことにちなみ「初めての体験に関して教えてください」と質問された3人。

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嵐は「私が涙を流すシーンで<カット>がかかって、監督の所へ行ったたら監督も号泣していたんです!自分の演技を人が見て感情を動かせたというか、感動してくださったのが嬉しくて、その瞬間を見て、これまでやってきてよかったなと思いましたし、残りも、もっと努力し続けようと思いました」泣きながらお互いハグしあう、という感動の経験とともに、一生忘れない人生初体験でしたと告白。続いて川和田監督も「あの時のことは私も忘れられないですね、この日もためにやってきた、と思うような瞬間だった」と述べた。そして奥平は自身が出演した映画「一作目(マザー)の舞台挨拶がFS汐留なんですね。そのことを思い出してたんですけど、なぜか今日の方が緊張しているんですよ(笑)二年前ですけどすごく懐かしいです」と告白した。

キャスティングが決まった後「サーリャのキャラクター性は嵐さんに少し寄せたり、嵐さんから出てきた言葉からインスピレーションをもらった台詞などもあった」とも明かした川和田監督。「奥平さんと話していて、奥平さんの物事を見るフラットさから思いついたセリフもありますし、聡太の趣味は奥平さんの趣味でもあったり、こういうことをやってみてほしいなということを想像しながら作り上げていった」と言う。

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嵐もそれに応えるように「ふと話したワールドカップの話も『私は日本を応援しちゃダメなのかな』と感じたことがあった部分とかも、本編で使ってくれたので、そういうシーンは自分の感情を乗せながら演じられたと思う」と言い、奥平も「僕の好きなことを反映してくれて、あまり好きな表現ではないのですが、お芝居って言ってしまえば嘘になるんですけど、今回は嘘じゃなくなるというか、本当の自分として演じることができたので、それをさせてくれたのが監督で、すごくありがたかったですね」と述べた。

最後、これから映画を見る観客の方に向けて嵐は「わたしの一生の宝物のような作品です。本当に1人でも多くの方々に観ていただきたいという気持ちでいっぱいです」と感謝を述べ、奥平は「今作のテーマに関しては僕自身初めて触れたものだったので、まずは知ることが大事だと思いました。だからこそこの映画はたくさんの人に観てもらいたい作品ですし、僕もこの映画に携われてよかったと思います」と語り、川和田監督は「この映画で描いていることは私たちのすぐそばで起きていることです。知らないことばかりだと思うのですが、奥平さんが言っていた通り、まずは知っていくこと、知っていくことが積み重なっていくことで少しずつ世界が変わっていくことを信じてこの映画を作りました。少しずつ無関心を関心に変えていきたいと思っています」と締め括った。

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ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門のヘッドプログラマーのセバスチャン・マルクト氏が「世界共通のテーマである現代社会の矛盾を、とても美しく、映画らしい構成で物語に練りこんでいる」と称え、海外メデイア「VERDICT」に掲載されたレビューには、「川和田監督の『マイスモールランド』はあくまでフィクションとして、彼女自身がダブルとして生きる経験から、クルド人全体を描くのではなく、一人の高校生であるクルド人に焦点をあてる。彼女が生きる日本社会の中で、希望や夢を持ち、目の前の困難に立ち向かう状況を描いた特別な映画である。日本当局の非人道的な難民政策を厳しく批判する一方で、17歳の少女が自分の感情や、複数のアイデンティティによってもたらされる責任と対峙する姿を感動的に描いており、注目されるべき作品」と既に海外からも高く評価される本作。

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《ストーリー》
クルド人の家族とともに、生まれた地を離れ、幼い頃から日本で育った17歳の少女、サーリャ。少し前までは同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていた。ある日、難民申請が不認定となり、家族の日常が一変する。埼玉に住むサーリャは、在留資格を失った今、バイトをして、大学に進学し、東京の高校に通う聡太と自由に会うこともできない。日本に居たいと彼女が望むことは“罪”なのだろうか――?

出演:嵐莉菜、奥平大兼、平泉成、藤井隆、池脇千鶴
アラシ・カーフィザデー リリ・カーフィザデー リオン・カーフィザデー、韓英恵、サヘル・ローズほか
監督・脚本:川和田恵真
主題歌:ROTH BART BARON 「N e w M o r n i n g」
企画:分福
制作プロダクション:AOI Pro.
共同制作:NHK FILM-IN-EVOLUTION(日仏共同制作)
配給:バンダイナムコアーツ
©︎2022「マイスモールランド」製作委員会  上映時間:114分
公式HP mysmallland.jp
公式twitter @mysmallland
公式Instagram @mysmallland

5月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開