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石井杏奈「この映画は私にとってのヒーロー!」 映画『砕け散るところを見せてあげる』インタビュー! 

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(62)

竹宮ゆゆこのベストセラー小説「砕け散るところを見せてあげる」を原作に実写映画化。
正義感の強い清澄と、彼にいじめから救われた玻璃の二人が、互いの幸せのために戦う姿を描き出す。鬼才SABU監督がメガホンを取り、どこにでもいる高校生・濱田清澄役を中川、学年一の嫌われ者・蔵本玻璃役を石井杏奈が演じる。

新型コロナウイルス感染の影響により公開が1年余り延長され、ついに4月9日に公開した本作。常識を覆す、衝撃の愛の物語に並々ならぬ思いで臨んだ石井杏奈に話を聞くことができた。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(72)

― 本作の原作、脚本を読まれたときの感想をお聞かせください。

最初に小説を読ませていただきましたが、ページをめくる毎にこれはどういう作品だろう・・・という気持ちになりました。一見青春物語のように見えるのですが、「ん? 何か違う・・・」となって、ページをめくる手が止まらなくなりました。読み終わったあとに深呼吸するような、読み切った満足感というか、様々な要素が入った作品。凄く満たされて、この作品が映画になるってどういうことなんだろうと本当にワクワクしました。

― とても内容の濃い作品ですが、特に玻璃の存在感が際立っています。玻璃を演じられていかがでしたか?

大変な役でしたが、とても楽しかったです。原作を読んだときから私は蔵本玻璃が好きでした。玻璃のために私も頑張りたいと思いましたし、好きだからこそ、本当に玻璃を演じることができるのかと自分にプレッシャーをかけていました。演じているときは前だけを見て全力で真っ直ぐ演じることだけを考えていました。よそ見をしたら玻璃を失ってしまう気がしたので。辛いシーンもたくさんありましたが、当時は無我夢中だったので演じることが楽しくて、毎日達成感で満たされていました。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(7)

― 玻璃のどんなところが好きだったのですか?

真っ直ぐなところが好きです。玻璃は愛を持って愛を伝え、愛を受け止めることができる。いじめられても、常に自分のことより他の人がどう思うのかということを考えていて、自分の優先順位は一番最後。そう思える人はなかなかいないのではないでしょうか。人はどうしても自分が楽な生き方をしたいと思ってしまうものですが、玻璃はお父さんにも、おばあちゃんにも、清澄にも、自分のことよりみんなの事を先に考えます。なので、あのような言動ができるのだと感じました。玻璃が持っている愛にとても惹かれて好きになりました。

― とても優しい女の子ですね。

「いじめられているけれど普通の女の子なんだ」というナレーションが冒頭にありますが、普通の人間だから痛いことも痒いことも全部分かる。だからこそ、もっと愛されて生きてほしいと思いました。本当に愛おしかったです。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(13)

― でも、撮影はハードだったのでは?

ハードでした・・・。約1か月くらい長野で撮影したのですが、9月末〜10月の頃だったので厳しい寒さではありませんでしたが、夜に森の奥の湖に入るシーンは本当に寒くて、みんなで悲鳴を上げていました(笑)。

― 劇中では玻璃の顔が酷いことになってしまいますが・・・、ご自分でご覧になっていかがでしたか?

もうびっくりしました(笑)。メイクなのでもちろん痛いということはないのですが、その顔を見ていると不思議と痛く感じてきて、プロの方は本当に凄いなと思いました。でも、そのメイクのまま1日過ごしていると、だんだんメイクをしているという感覚が薄れてきてしまって、その姿で「ちょっとコンビニに行ってきま~す」と出かけようとして、スタッフの方に「やめて!」と止められることもありました(笑)。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(40)

― 本作はシリアスなシーンも多く重厚な映画ではありますが、思わずクスッと笑ってしまうシーンもありますね。

そうなんです。玻璃と清澄の会話もけっこうシュールです(笑)。お汁粉を飲むシーンも高校生らしく微笑ましくて好きです。

― トイレに閉じ込められるシーンやお汁粉のシーンはとても自然な会話ですが、あれは全部セリフだったのですか?

全部セリフです。どもる部分もしっかり決められています。忠実にセリフを発していますが、現場で大志くんと掛け合わせ、撮影時に特に監督から指示されることもなく、二人の思いが合わさって出来上がりました。本作は会話劇が多いのですが、そういうところは全部二人の気持ちをぶつけあって完成したシーンです。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(35)

― W主演となる中川大志さんとは今回で3度目の共演とのことですが、そういう意味でもよく息もあったのでしょうか?

凄くやりやすかったです。中川さんは俳優のキャリアが長いので、何でも受け止めてくださる安心感があり、3度目の共演ということで信頼感もありました。これまで取材を受けていくなかで、中川さんは「玻璃との距離感をどうしていこうか。あまり(石井と)喋らないでいようかと色々考えていた」「オフからオンに切り替わるときにしっかりその場に立てるようにもっていけたらいいなと思っていた」と仰っていて、そういうことまで考えていてくださったのかと驚きました。とても同い年とは思えない・・・本当に尊敬できる方だなと。私は本番の時に(玻璃として)精一杯生きて、中川さんがどう出てきてもしっかり受け止めようと考えていましたし、自分もその倍を返したいと思っていましたが、そこまで考える余裕がありませんでした。

― 先日、中川さんも「杏奈ちゃんと久しぶりにあったのですが、そこには玻璃がいて石井杏奈の覚悟が見えました」と仰っていました。やはり玻璃という役は石井さんにとって重要な役だったのでしょうか?

私にとってとても重要な役でした。20歳になって初めての映画作品でしたが、自分が大好きな作品で大好きな主人公や登場人物たちがいて、キャストの皆さんもこんなに豪華で。そのなかで主演というプレッシャーや責任感が凄くありましたが、そんなプレッシャーに絶対に負けたくないですし、自分にも負けたくなかったので、とても気合いが入っていました。
大志くんも会った瞬間に「清澄だ!」と思いましたし、オフの時に佇んでいる姿でさえ清澄にしか見えなくて、側にいてほしいと思う感覚になったのも清澄がそこに存在していたからだと思います。

― それでは、撮影のオンの時とオフの時の差はあまりなかった?

変わらなかったです。オフのときはたわいのない話をしたり、みんなでご飯を食べに行ったりもしましたが、その時は作品のことは一切話をせず、(演じるにあたっての)決め事も作りませんでした。仕事ではありますが、オフの時もずっと玻璃と清澄だったような気がします。ずっとそこにいたくて、撮影中は家に帰ってきたくなかったです。自宅に帰って普段の自分になってしまうのが嫌でした。オフの時もなるべく現場にいるようにしていました。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(50)

― また、お父さん役の堤真一さんも強い存在感を放たれています。共演されていかがでしたか?

本当に凄かったです。ご覧になった方々に感想を聞くと「堤さんが凄い!」という言葉が多かったです。私は、1~2日くらいしかご一緒していないのですが、怖くて涙が出そうになった感覚は初めてでした。湖のシーンでは「よーい、スタート!」と声がかかった時のスイッチの切り替わり方など、全てが怖かった。血は繋がっているので(父親を)守ってあげないといけないという気持ちもあるので、本当に泣きそうになりました。この感覚がしっかり画面に映っているので、お父さんの存在感の凄さを感じました。

― 演技について堤さんとお話をされましたか?

少しハードな動きがあるシーンでは、堤さんから「こうやると、そう見えるよ」や「僕がこうするから、こうやって」というふうに具体的にアドバイスをいただくこともありました。とても勉強になりましたし、存在感に圧倒されました。

― 豪華キャストが揃った本作ですが、それをまとめるSABU監督の印象はいかがですか?

SABU監督とご一緒するのは初めてでしたが、あまり多くを語らずクールな方という印象でした。俳優の演技をとても尊重してくださって、カメラの向きなどの技術的な面では指導がありましたが、それ以外はけっこう自由に演じさせていただきました。こちらが「これで大丈夫かな?」と思ってチラッと監督を見ると、監督はずっとニコニコして見ています(笑)。完成披露舞台挨拶でも「自信作です!」と仰っていて、監督の作品への思いを知ることができ、やりがいというか生きがいすら感じるくらい嬉しいかったです。完成披露の朝もダブルピースをして挨拶してくださったり本当に上機嫌でした(笑)。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(28)

― 清澄と玻璃がヒーローについて語るところも印象的ですが、石井さんにとってのヒーローとは?

この作品がこれから私のヒーローになるのだと思います。これまで助けていただいた方はたくさんいますが、これからの人生において、自分が辛くなったときや仕事で悩んだときに絶対この作品を観ようと心に誓っています。それは、自分が無我夢中になって戦った作品ですし、その頃の自分の勇姿であったり頑張った生き様が映画になっていると思うからです。自分が大好きな作品なのでこれから先何年か経って立ち止まった時に観れば、きっと励まされると思いますし、また違う選択肢が生まれてくるかもしれない。そういう大切な宝物になっていくだろうと思っています。

― なるほど。まさに女優・石井杏奈を感じられる作品だと思います。劇中の“ヒーローとは”になぞらえ、石井さんにとって“女優”とは?

なるべくありのままでいたいです。嘘はつかず、等身大の自分で立っていたいと思います。もちろん演じる作品は作るものですが、なるべくそれをリアルにするために、自分も本当を演じたいからこそ、どこかに共感していきたいですし、やはり演じることに嘘はつきたくないです。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(16)

― 本作の中で石井さんが特に好きなシーンがあったら教えてください。

清澄との待ち合わせのシーンが好きです。清澄がガードレールに座っているところです。この映画の一番平和で幸せな場面だと思うので。二人が生きた証として追加したいと監督が仰ってくださって、最後に追加撮影もしました。凄く嬉しくてウキウキしながら撮影したことを覚えています。映像で見ても温かくて優しく愛を感じるシーンになっていると思います。

― 最後に、これから映画をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

やっと1年越しにこの映画が公開される意味も絶対あると思いますし、今だからこそ様々な人に愛を届けたいです。ラブストリー、ヒューマン、サスペンスの全部のジャンルが合わさった新しい作品になっています。この作品をご覧になって皆さんがどう感じられるかも知りたいです。きっとこの二人に救われたり、自分のヒーローを見つけたいと思ったり、前に進むきっかけにもなると思うので、ぜひ観ていただければ嬉しいです。

『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(9)

【石井杏奈(Anna Ishii)】
1998年7月11日生まれ。東京都出身。
映画やテレビドラマで幅広く活躍。『ソロモンの偽証前篇・事件/後篇・裁判』(15年/監督:成島出)と『ガールズ・ステップ』(15年/監督:川村泰祐)の2作で第58回ブルーリボン賞新人賞を受賞。テレビドラマ「仰げば尊し」(16年)では、コンフィデンスアワード・ドラマ賞新人賞を受賞するなど、若手女優としてその実力が評価され注目を集める。
その他、主な出演作に、『四月は君の嘘』(16年/監督:新城毅彦)、『スプリング、ハズ、カム』(17年/監督:吉野竜平)、『たたら侍』(17年/監督:錦織良成)、『心が叫びたがってるんだ。』(17年/監督:熊羅尚人)、『記憶の技法』(20年/監督:池田千尋)、『ホムンクルス』(21年/監督:清水崇)などがあり、TV ドラマ「チア☆ダン」(18年)、FOD/Amazon プライムドラマ「東京ラブストーリー」(20年)、Huluオリジナルドラマ「息をひそめて」、舞台「てれびのおばけ」(21年4月14日~18日@下北沢 本多劇場)。

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映画『砕け散るところを見せてあげる』
【ストーリー】
<常識を覆す、衝撃の愛の物語>
平凡な日々を送る濱田清澄はある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃に出会う。
玻璃は救いの手を差し伸べてくれる清澄に徐々に心を開くようになるが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。その秘密に気づき始めた清澄に<恐るべき危険>が迫り、友人の田丸や尾崎姉妹も心配する中、物語は予測できない衝撃の展開を見せていく。
この物語は、ラブストーリーなのか、サスペンスなのか…。ラストは世代を超えた壮大な愛に包まれる。

出演:中川大志、石井杏奈
井之脇海、清原果耶、松井愛莉 / 北村匠海、矢田亜希子、木野花 / 原田知世 / 堤真一
監督:SABU
原作:竹宮ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』(新潮文庫nex)
©竹宮ゆゆこ/新潮社
主題歌:琉衣「Day dream ~白昼夢~」(LDH Records)
配給:イオンエンターテイメント

公式サイト :https://kudakechiru.jp/
公式Twitterアカウント:https://twitter.com/kudake_movie #砕け散るところを見せてあげる
公式インスタグラムアカウント:https://www.instagram.com/kudake_movie

コピーライト表記:©2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会
映倫:PG12指定作品

2021年4月9日(金)新宿ピカデリー、イオンシネマ他にて全国公開中!

撮影:ナカムラヨシノーブ

石井杏奈さん
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『砕け散るところを見せてあげる』石井杏奈さん-(97)