Open Close

映画『ハローグッバイ』W主演・萩原みのり&久保田紗友インタビュー! 今は仲良しの二人も「役作りのため、あえて距離をとりました」

第29回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門に正式出品され、「繊細な少女の心を映し出した傑作」と観客たちから高い評価を得た映画『ハローグッバイ』が、いよいよ7月15日より公開される。
SNSや高校という空間で居場所を求め、大人と子供の狭間にいる女子高生たちの日常と心理を儚くリアルに映し出した本作。W主演を務めるのは、元彼の子供ができてしまったかもと思い悩むはづき役の萩原みのりと、孤独な優等生の葵役の久保田紗友。心に影を潜める少女たちが人と向き合おうとすることで、新しい自分を発見していく様を繊細に描いていく。等身大の少女をリアルに演じたお二人に、映画に対する思いと今の自分について率直に語ってもらった。

DSC_6990

― 本作の出演が決まって初めて台本を読んだ時の感想はいかがでしたか?
萩原みのり(以下、萩原):自分自身が中・高校生の時に感じたことのある友達関係の中での違和感が、台本の中にそのまま描かれていて、「分かるな」と感じる部分が色々な場面にありました。「自分もこうだったなぁ」とか「こんな言葉を言っていたな」と少しずつ思い出しながら読みました。

久保田紗友(以下、久保田):私は今、高校三年生ですが、この台本を読んだのは高校二年生の時でした。ちょうど自分の心情と重なる部分がたくさんあって、「今の私だ」と思いました。

― 等身大の少女を演じることは難しくなかったですか?
萩原:難しいと思うことはありませんでした。自分の中の引き出しをたくさん開けることができたと思います。監督が「自分の高校生時代はどうだった?」と聞いてくれて、役についてじっくりと話をする時間を作ってくださったんです。その時まで自分でも気がつかなかったんですが、実際に言葉に出してみると「それって、はづきに似てるんじゃない?」って。監督にもいろんな自分を引き出してもらったと思います。(はづきと)似ている部分もあれば、似てない部分も作ることができたし、特に同世代を意識したり、自分と違うところで役をつくる、自分に寄せるということを考えずに、一人の女の子を作ることができました。

久保田:私はリハーサルの時から、みのりちゃんや周りの人たちと距離を取って、監督もあえて私に話しかけてこなかったんです。そういう環境が私を葵にさせてくれたんじゃないかなと思います。

― それでは、それぞれの役の中に自分と似ている、似ていないと思う部分はどんなところですか?
萩原:私の中学生時代は、はづきのように必死に周りに合わせて自分の意見をほとんど言わず、無難に過ごしていました。でも、高校生になって役者の仕事を本格的に始めてからは、学校以外の友達ができるようになったり、大人の人と関わるようになって他の世界が見えるようになりました。中学生の時は学校が全てだったので必死にしがみついていたんですが、他の世界を見るようになって、少しずつですが自分というものを持てるようになり、葵のように一人でいることや周りの目も気にならなくなって、「違う」と思ったことに対しても自分の意見を言えるようになりました。はづきと葵のどちらも分かるような気がします。

久保田:私は中学生になる少し前から芸能事務所に入ったのですが、お仕事があるときは地元の北海道から東京に通っていました。東京は仕事の場所、北海道はオフの場所と自分の中で区切りをつけていて、それぞれ違う世界を見ていたので、むしろマイペースでした。今も、一人でいたい時は一人でいるし、友達と一緒のときも無理に合わせることはないので、自分は少し葵に近い気がします。でも、はづきの気持ちも良くわかるので、どっちにも似ているのかな。

DSC_7000

― 今のお二人を見ていると映画の雰囲気そのものですが、最初の頃は役のためにどのように距離を保っていたのですか?
萩原:クランクイン前、私は久保田紗友ちゃんという子がいるということは知っていましたが、話をしたことがなかったので、本当にはづきと葵のような距離感から始まりました。リハーサルの時も距離を詰めずに、あえて敬語で話して壁を作って接していました。劇中でSNSのグループが出てくるんです。私も実際に出演者たちとグループを作って動かしていたのですが、その時も紗友ちゃんは入っていなくて、リアルに映画と同じ状況をリハーサル中も作っていました。
撮影現場に入ってからは紗友ちゃんとの二人のシーンが多いので、やっと話すようになったんです。同世代だと少し話しただけですぐに仲良くなっちゃうので、現場に入ってから距離を縮めていって、はづきと葵のようにお互いのことを少しずつ分かっていったという感じです。撮影もほとんど物語の一連の流れで進んでいったので、リアルな私たちの心情が映し出されていると思います。

― 劇中に登場する悦子役・もたいまさこさんの存在も大きいと思いますが、共演されていかがでしたか?
久保田:三人で撮影する場面も多かったのですが、本当に気さくな方で、休憩中もずっと一緒にお話してくださったんです。

萩原:そうですね。もたいさん含めて三人でいることが多かったです。もたいさんが中心になって声をかけてくださって、三人で一緒にいられる空気感を作ってくださいました。カメラが回っていないときも、はづき、葵、悦子さんの三人のそのままで現場にいることができました。

― もたいさんとはどんなお話をされたんですか? 演技の話とか?
萩原、久保田:演技の話は全くしていませんでした(笑)。
萩原:逆にあえてお芝居の話をしないようにしてくださった気がします。普段の何気ない話とか、本当に普通の日常会話でした。

― もたいさんは認知症を患ったおばあさんの役ですが、実際ものんびりした雰囲気の方?それともシャキシャキされていました?
萩原、久保田:(声を揃えて)シャキシャキしてる!!(笑)

― ご自身にとって「友達とは?」、女友達って特別ですか?
萩原:私は愛知県から上京してきているので、東京で知り合う人はまず「仕事関係の人や仕事での友達」という意識が少しあります。私は6年間女子校(中高は名古屋)だったので、友達は女性ということが当たり前でした。女性しかいないことが普通で、特に気にしたことはなかったです。でも、地元の友達は少し特別な感じがあります。小学校のときの友達は今でも会うと、何も考えずに無邪気にいられたころにすぐに戻れますね。
私が幼いころ過ごしていたところは、近くにお店もない田舎で、小学生の時は6年間ずっとクラス替えもなく30人一緒に育ったんです。なので、その頃の友達は少し特別な感じがあります。

久保田:今も学生生活を送っていますが、私の周りは性別関係なくみんな仲がいいので、女の子も男っぽくてサバサバしているし、女友達が特別という意識はないです。私は男女の友情って成立すると思っています。

DSC_7010

― 悦子さんは人生で後悔しないために、昔好きだった人にお手紙を送ります。お二人は人生で後悔しないために心がけていることはありますか?
萩原:何事も無駄だとは思わないようにしてます。経験できたことは得だと思えばいい。私は小学生のころから新体操をやっていて中学校から強豪校に入ったんですが、ドクターストップがかかってやめたんです。それまで他の習い事を全部やめて新体操だけに力を注いできたので、その時は「もう私には何もない・・・」と、今までのことが全て無駄に思えてしまいました。そのとき、母が「何事も人生に無駄はないから・・・」という詩が書かれたポストカードをプレゼントしてくれたんです。それから役者という仕事にも出会えて、その経験も挫折を含めて全て生かせると思うようになり、プラスに考えるようになりました。

久保田:私も、やらないよりやったほうがいい。常に後悔したくないなという気持ちで何事にも臨んでいます。

― SNSが当たり前のようになっている現在、そしてそれに対比するような手書きの手紙が物語のなかでもキーになっていますが、お二人が今、手紙を書くとしたら誰にどんなことを書きたいですか?
萩原:私はわりと手紙を書くんです。気持ちをちゃんと伝えたいと思う時は手紙を書きます。印刷されたものではなくて手書きの方が伝わると思います。文房具屋さんに行って、レターセットとかを買うのが好きなので、普段からなにげなく手紙を書いています。

久保田:未来の自分に手紙を書きたいです。私は自分が迷ったり悩んだりするときは、携帯電話のメモ帳に文字にして起こしておくんです。それをあとから読み返すと、とってもちっぽけな事に思えてきて。だから、それを手紙して未来の自分に送って「私、こんなこと思っていたんだ」って笑いたいです(笑)。

― これからも多くの活躍を期待されるお二人ですが、将来どんな女優さんになりたいですか?
萩原:今回、もたいさんとお会いして、とても刺激を受けました。人としても女性としても凄くステキな方で、こんな大人の女性になりたいなと思いました。後ろ姿だけで何かを語ることができる、もたいさんが佇んでいるのを見ているだけで自然と涙が流れてしまう・・・そんな女優さんになりたいなと強く思いました。

久保田:色々な現場で、大先輩の役者さんを見ていると自分に厳しくて周りに優しい方が多いので、私も常にそうありたいと思っています。

― 最後にこれから映画をご覧になるみなさんへメッセージをお願いします。
萩原:学生が出ているので学園ものに思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではないところでも伝えたいことがたくさん詰まっている映画です。友達関係だけではない人間関係も描かれていて、学生以外の方にも感じてもらえるものが多いと思うので色々な年代の方に観ていただきたいです。

久保田:私が今、この年齢だからこそ演じて臨んだ作品です。「今、みんなはどう思っているんだろう」と気になるので、同世代のみなさんにぜひ観ていただきたいです。そして色んな世代の方々にも観ていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【萩原みのり(はぎわらみのり)プロフィール】
1997年生まれ 愛知県出身。
「放課後グルーヴ」でドラマデビュー後、映画「ルームメイト」で映画デビュー。15年ドラマ「表参道高校合唱部!」でレギュラー出演し話題に。映画「昼顔」が公開他、「心が叫びたがってるんだ。」「ゆらり」など今年公開の映画が多数控えている。
【主な出演作品】
劇場版 零(2014年) 人狼ゲーム クレイジーフォックス(2015 年)
ブルーハーツが聴こえる(2017 年) 戦場へ、インターン(2017 年)
昼顔(2017年)ゆらり(2017 年) 心が叫びたがってるんだ。(2017年)

【久保田紗友(くぼたさゆ)プロフィール】
2000 年生まれ 北海道出身。
13年ドラマ「神様のイタズラ」、「三人のクボタサユ」共に主演で出演。15年~16年 NTT ドコモ「iPhone・iPad」のCMに出演し、抜群の存在感で注目を集める。16年「世にも奇妙な物語」「模倣犯」、17 年 NHK 連続テレビ小説「べっぴんさん」に抜擢され、現在はドラマ「過保護のカホコ」にレギュラー出演中。
第11代早稲田塾ガールでもあり、ジョンソン・エンド・ジョンソン㈱
ビジョンケア カンパニー「アキュビュー®」の CMにも出演。
【主な出演作品】
僕は友達が少ない(2014 年) アゲイン28 年目の甲子園
(2014年) 先生と迷い猫(2015年)疾風ロンド(2016 年)

Hello_collect

映画『ハローグッバイ』
【STORY】
高校生のはづきと葵は、同じ教室にいながら交わることの無いクラスメートだ。葵は、クラスで「委員長」と呼ばれる優等生だが、仕事で忙しい両親を持つために家ではいつも孤独である。その寂しさを紛らわせる為に万引きを繰り返していることは、誰にも言えない秘密だ。一方はづきは、クラスでも目立つ存在だが、元彼との間に子供が出来てしまったのではないかと一人悩んでいた。そんな二人は、ある認知症のおばあさんと出会い、想いを伝えられなかった初恋の人にラブレターを渡したいというおばあさんの為に一緒に初恋の人を探そうと決める。

出演:萩原みのり 久保田紗友
渡辺シュンスケ 渡辺真起子 小笠原海(超特急) 岡本夏美 松永ミチル 望月瑠菜
桐生コウジ 池田良 川瀬陽太 / 木野花 / もたいまさこ
監督:菊地健雄
脚本:加藤綾子
主題曲/音楽:渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)
企画・プロデュース:内田わか
プロデューサー:平林勉
製作・提供:Sony Music Artists Inc.
配給:アンプラグド
©2016 Sony Music Artists Inc.
公式サイト:http://hello-goodbye.jp

7月15日 渋谷ユーロスペース他全国順次公開

萩原みのりさん&久保田紗友さんツーショット!
直筆サイン付き自撮りチェキのプレゼントはこちらから!!

IMG_7343