映画『明日の食卓』の完成報告会が、5月5日、東京・よみうりホールにて行われ、主演の菅野美穂をはじめ、共演の高畑充希、尾野真千子、柴崎楓雅(子役)、外川燎(子役)、阿久津慶人(子役)、瀬々敬久監督が登壇した。
椰月美智子の 2016 年に出版された同名小説を原作に、瀬々敬久監督の手で映画化。「石橋家」の「ユウ」という同じ名前を持つ三者三様のドラマを描くミステリアスな群像劇の本作は、子を持つ親なら誰もが直面する問題をリアルに描いた社会派エンターテイメント。
主演を務める菅野美穂はフリーライターで二人の息子を育てる留美子役に挑み、やんちゃ盛りの息子たちを育てながら仕事復帰を目指す母親を熱演。また、若くして母となり、シングルマザーとして働きづめのなか息子を育てる加奈役を 高畑充希 、年下の夫と優等生の息子に囲まれ、一見なに不自由なく幸せを手に入れているように見えるあすみ役を、尾野真千子が演じている。
10 年ぶりの映画主演となる菅野は「どの家庭にも起こりうる話。コロナ禍の前にお話しをいただいたのですが、ちょうどコロナ禍で自分の子供と向き合う時間があってからの撮影となり運命を感じました。（役で）子供を怒らないといけないシーンはゾクゾクするような怒りで（子供を持つ）自分とは切り離せない部分でした。だも、いざ演技をしようとすると、どこか離れて見ているような自分がいて、自分の経験を上手くいかせていないような気がしました」と振り返り、高畑と尾野の母親役について「皆さん、凄いです！」と称えた。
菅野の息子役の外川が「（留美子は）いつも怒ってばかりで怖いお母さんですが、普段の菅野さんは優しく話しかけてくれていました」と語るも、演技に熱が入りつい力が入ってしまうことも多かったようで、「痛かったよね、悪かったよ、ごめんね」と謝る菅野に外川は「はい、痛かったです」と笑顔で応えていた。
高畑は「自分は子供もいないし、シングルマザーの役だったので、全部が手探りで難しかったです。でも、舞台が大阪で、自分が育った東大阪の空気感や景色が懐かしかったです」と自然とその環境に馴染んでいったそう。息子役の阿久津は「僕は大阪弁がド素人なので高畑さんがずっと一緒に練習してくれたので安心して臨むことができました」と話し、うまくコミュニケーションをとることができた様子。
尾野は「本当につらいことばかり起こってイヤになっちゃいましたが、ご褒美のほうに救われるシーンもあった。耐えて働いて、耐えて走っての繰り返しでした」と苦労を明かしつつ、「問題が多すぎるし、色々背負わされるつらさがきつかったけれど、現実のお母さんはもっと辛いんだろうと思っていました」と続け、「経験したことのないことばかりだったので、予行練習のように楽しんでやっていました」とニッコリ。
息子役の柴崎が「写真撮影の時から一緒にトランプなどで遊んでくれて、尾野さんと（父親役の）大東（駿介）さんが大好きになりました。台本にないセリフを現場で伝えられた時も、緊張していたら尾野さんが『私についてきて』と言ってくれた」と語ると、「120点あげる！」と目尻を下げる尾野だった。
今回の演技を経て、菅野は「これまでは、街で親子さんの姿を見てほのぼのとしていいなと思っていましたが、それはほんの一瞬のこと。子どもが生まれて（母親として）できて当たり前だと思われているんだろうなと。誰にも褒められない、辛いことなんだと。実は一昨日も、ダイニングテーブルがボンドで真っ白になっていて、涙目になりながら掃除したんですよ。手に届くところが置いた私が悪い気持ちと、世界で一番不幸な私という気持ちと両方ありました」と実体験を交えて言及。
瀬々監督は、菅野を「チャーミングな人。そしてこの人すげー！と思うくらいのパワーがある」、高畑を「お芝居に嘘をつかない、実感をともなった人」、尾野を「化学反応の人。その場で反応する魅力的な人」と、3人を絶賛し、「上手くいかなかったら、その後さあどうします？･･･という話。そこから希望が出てくるところが本作の魅力です」とアピール。「かつて子供だった人を揺るがす作品になっています。世のお母さん、ふがいない男性たち、全ての人たちに観ていただきたい」とメッセージを送り会見を締めくくった。
【STORY】
同じ「石橋ユウ」という名前の小学5年生の息子を育てる３人の母親たち。
神奈川在住・フリーライターの石橋留美子（菅野美穂）43歳。夫・豊はフリーカメラマン。息子・悠宇10歳。
大阪在住・シングルマザーの石橋加奈（高畑充希）30歳。離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日。息子・勇10歳。
静岡在住・専業主婦の石橋あすみ（尾野真千子）36歳。夫・太一は東京に通い勤務するサラリーマン。息子・優10歳。
それぞれが息子の「ユウ」を育てながら忙しく幸せな日々を送っていた。しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。苦労はあっても、息子への愛に偽りはなかったはずなのに、どこで歯車が狂ってしまったのか。「ユウ」の命を奪った犯人は誰なのか、そして三つの石橋家がたどり着く運命とは……？
監督：瀬々敬久
原作：椰月美智子『明日の食卓』（角川文庫刊）
脚本：小川智子
主題歌：「Motherland」tokyo blue weeps
菅野美穂 高畑充希 尾野真千子
柴崎楓雅 外川燎 阿久津慶人 ／ 和田聰宏 大東駿介 山口紗弥加 山田真歩 水崎綾女 藤原季節
真行寺君枝 ／ 渡辺真起子 菅田俊 烏丸せつこ
製作幹事：WOWOW 制作プロダクション：トラヴィス
配給：KADOKAWA／WOWOW
（C）2021「明日の食卓」製作委員会
公式Twitter：＠asushoku_movie
公式サイト：https://movies.kadokawa.co.jp/ashitanoshokutaku/
5月28日(金)全国公開
