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ミュージカル『エリザベート』取材会 花總まり、愛希れいか、井上芳雄、古川雄大

日本のファンに愛され、大ヒットミュージカルとして上演されてきたミュージカル『エリザベート』が、2019年6月~8月に帝国劇場で上演される。今回は、2015年2016年とエリザベートを演じた花總まり、トートを演じた井上芳雄と共に、今回からエリザベート役に愛希れいか、トート役に古川雄大を迎える。
4月1日に、この4人揃っての取材会が開かれた。

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古川雄大 愛希れいか 花總まり 井上芳雄

ーご挨拶からお願い致します。
花總:みなさま、本日はお忙しい中おいで頂き、ありがとうございます。今日はどうぞ最後までよろしくお願い申し上げます。
愛希:みなさま、本日はおいで頂きありがとうございます。精一杯頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
井上:僕は、初舞台が『エリザベート』のルドルフ役でトートをやらせて頂き、ふるさとのようなホームのような作品です。新たなメンバーを迎えて、新しい気持ちで、年号も変わりましたし、新しい『エリザベート』を作っていけたらいいなと思っております。
古川:僕は2012年にルドルフをやらせて頂いた時からトート役に憧れていました。ミュージカルをやっていく上で死ぬまでにできたらいいなと思っていました。こんなに早くやらせて頂けるとはびっくりしておりますが、できるかぎりのことをやって、今までにないトートを演じられればと思っております。

―今の気持ち、意気込みをお願いします。
花總:自分の中では先のような気持がしていましたが、今日、合同取材をすることになり、近付いてきたというドキドキ感と、新たなメンバーで作るのだとワクワクしています
井上:またやれるのは素直に嬉しいです。ミュージカルブームと言われて久しく、追い風を感じて嬉しいのですが、この作品は独自の進化を遂げている演目だと思います。ミュージカルは好きだけど、まだ『エリザベート』は観たことない人もたくさんいると思うので、もちろんファンの方には楽しんで頂きたいですし、初めて観る方には「これが俺達の『エリザベート』なんだ」と、しっかりお見せしないと…という責任感のようなものを感じています。『レ・ミゼラブル』には負けていられないなという(笑)、競う必要はないのですが、同じくらい日本を代表する演目になってきていると思うので、その責任・矜持を持ってやりたいと思っています。
愛希:今は緊張する気持ちが大きいのですが、新しいことに挑戦出来る楽しみな気持ちと緊張が入り混じっております。
古川:今、芳雄さんがおっしゃったように日本を代表する演目だと僕も思っています。僕の大好きな作品でもあります。またこの作品に参加できる喜びと、トートということで喜びだけでなく、緊張や不安にもおそわれていますが、芳雄さんとWキャストさせて頂くことで、いろいろ勉強させて頂きながら楽しみながら稽古を乗り越え本番に向っていけたらと思っています。

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―魅力的な楽曲がありますが、好きな曲、楽しみな曲を教えて下さい。
花總:全部大好きです。中でも最初の♪「世界は~」と亡霊たちが登場してくる曲が大好きです。あの曲を聴くと、出演者でありながらゾゾゾ~ッと鳥肌が立つほど大好きです。
愛希:全部好きですが、「パパみたいになりたい」という曲が、エリザベートの少女時代すべてを表している曲だと思うので、とても難しいのですが、この曲が好きです。
井上:思い入れはたくさんあるのですが、「最後のダンス」は代表的なソロのナンバーですし、エリザベート役は「やめて」とか「いやよ」と言うだけで振り回させて頂いています。普段は穏やかに嫌われないようにしていますが、「最後のダンス」を歌っている時だけは自分の中の暴力性や攻撃的なものを出してもいいんだといわれて、「こんなに自分の中にS気があったか」と、この仕事をやっていて良かったと思います。今年も楽しみにしています。
古川:僕はトートなら「最後のダンス」です。トートに憧れた理由のひとつで、憧れたナンバーです。そして精神病院のシーンが好きで、歌やメッセージ性にもグッときています。

―今回の役作り、演技プランを教えて下さい。
花總:それは秘密です。自分の中ではいろいろありますが、それは稽古中にどんどん変化していくかもしれないし、本番中も変化していくかもしれないので、自分だけの楽しみと目標として、秘密にして頂けたらと思っています。
井上:はっきりとはいえないのですが、トートは死という概念ですので、哲学的なことも必要な役だなと思っています。答えが簡単にでるようなものではないですが、死を描くのはどう生きたかを描くということ。登場人物たちが苦しんだりたのしんだりしながら生きていく様子が伝わる死神であったらいいなと。今回で答えがでるものではないのですが、テーマに関しては考え続けて今年もやりたいなと思っています。
愛希:私も想像ばかりが膨らんで稽古に入ってみないとわからないところがたくさんあります。生きるエネルギーをしっかりもって頑張りたいと思っています。
古川:まだちょっとわかっていませんが、見終わった後に考えさせられるような死でありたいと思っています。死は人によって時によって捉え方は違うと思いますし、同じ人でもその時の感情や精神状態によって違うと思います。自分でも考えているうちにわからなくなってしまっていますが、シーンごとに表情を見せることができるトートで、見終わった時に「死って何なんだろう」と問いかけのできるトートを改めて目指しています。

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―新キャストのおふたりへの質問です。愛希さんは宝塚でエリザベート役を演じ、古川さんはルドルフ役を演じたことがあり、本作には縁の深い二人ですが、今回のオフォアーをもらった時のお気持ちをお願いします。
愛希:この作品の大ファンだったので、出演できることが嬉しかったです。宝塚時代にも演じさせていただきましたが、もう一度挑戦できるのだという気持ちです。すごく愛されている作品なので、頑張らなくてはと思いました。
古川:前回の公演の最後で「ルドルフは卒業します」と宣言したので、しばらくは『エリザベート』には出られないのかと思っていました。「トートで」とお話しを頂けて、自分では「わりと早くチャンスを頂けたな」と正直びっくりしました。まだプレッシャーと不安の方が大きいです。

―エリザベート役おふたりの互いの印象は?
花房:ミュージカル『マリー・アントワネット』の公演を観に来てくださって、その時は退団直後で辞めたてほやほやの湯気が立っている感じでフレッシュさを感じました。私にはもう湯気がないです。(笑)(その湯気は)「今の今まで燃えていました」というような熱気でしょうか。懐かしい感じがしました。
愛希:お会いした時は本当に緊張していて、湯気がたっていたのかもしれません。私の(花總さんへの)印象は、宝塚時代も作品を拝見させて頂いていたので、舞台の上の印象が強く、お姫様の印象が強かったのですが、お会いして気さくに話しかけて下さって、明るくて笑顔が素敵な方…という印象でした。
花總:お姫様ではありませんでした?
愛希:お姫様なのですが、雲の上の存在だと思っていましたのに…
花總:そこで和気藹々とお話しした覚えがあります。

―体調管理はどのようにされていますか?してきたこと、あるいは今後したいことを教えて下さい。
愛希:器械体操をやりましょうか…? 今日はエイプリルフールということで。(笑) ノドのケアは大切に頑張りたいと思います。
古川:風邪をひかないように頑張ってやっています。特殊なことでは、鼻うがいを1日2回やっています。風邪の8割は鼻からだそうです。
井上:鼻うがいは痛くないの?
古川:ある薬をいれると痛くないんです。鼻うがいをやって風邪をひくことは減りました。他にも基本的な吸入をしたりと、ノドのケアと風邪をひかないようにやっています。
井上:トートをやっている時はとても楽しくて。稽古場ではちょっと落ち着かないのですが、舞台に行ってしまうと「こっちのもんだ」みたいに楽しくやれていた気がします。この作品はエリザベートがタイトルロールで、僕が何をするわけでもないのですが、如何にこのエリザベート役に2人が気持ちよくやってもらうかということを気にしています。傍から見ていて、エリザベートは大変な役です。トートはちょっと出てきてわっと歌えば「すごく印象深いね」と言われて、「一生トートをやっていたいと思うほどいい役だ」と思いますが、エリザベートは花總さんを見ていても、全身を捧げてやっているなという感じがしていて、サポートというほどではないのですが、「こうしたらやりやすいかな」と思っていることが役にもつながってくるかなと思っています。
他には、貸し切り公演が多いので、挨拶を頑張ることですね。
古川:トートが挨拶するのですか?
井上:ふたりでやりますが、最後はエリザベート役の方がやるので、その前に温めるような感じです。
花總:今までの傾向として、頑張り過ぎる傾向があるので、考えるのは稽古場だけ、夜寝るときにはすべてを忘れると思ってやろうかなと思っています。どうも引きずってしまうと体調が悪くないので、上手に切り分けていきたいと思っています。

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―初めて観る方へのお薦めポイントは?
井上:よく聞かれますが魅力がたくさんありすぎて、ズバッと答えるのは難しいし、聞かれる度に違うことを言っているかもしれません。今がミュージカルブームだということから言えば、日常とは違う国も時代も違う別世界です。エリザベートと言う人は、今僕たちも見ても魅力的なエネルギッシュな人ですし、そこにトートという死の世界観…見えないものが加わって、ここにしかない世界ができあがっていることが魅力的なのだと思います。
ディズニーランドに行きたいと思うように、違う世界に身を置きたい。それによってリフレッシュして元の生活に戻っていきます。その別世界を味わうことがとても素敵にできる作品なのではないかと思っています。
花總:よく出来ている作品で、曲も大変素晴らしい。でも決して幸せなお話しではない。幸せな人ばかりではないけれど、実際に生きた人々の人間模様を見て、いろいろなことを共感し考えさせられ、逆に希望を感じさせられ…と、たくさんのことが詰め込まれています。たった3時間ですけれど現実を忘れて、その何百倍も考え感じさせられる素晴らしい作品だと思っています。
愛希:花總さんもおっしゃったように決して幸せなお話しではない。初めて観る方は、ハッピーミュージカルの方が観やすいと思う方も多いと思いますが、見終わった後に生きる勇気や「明日からも生きよう」と思うエネルギーをもらえるので、是非初めての方にも観て頂きたいです。
古川:美しさですかね。小池先生演出の美しい世界観。芳雄さんがおっしゃったトートというファンタジーの要素が入ってより美しくなる。曲もダークの中に美しい旋律がある。他にはない美しい部分があるのかななと、そこが魅力かなと思います。

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―最後にひとことお願いします。
古川:限られた時間ですが、できる限りのことをして新しいものを目指して頑張っていきたいと思います。よろしくお願い致します。
井上:またできることを嬉しく思っています。今こうしてフランクにお話しさせて頂いていますが、花總さんは日本で初めてエリザベート役を演じた方で、今年もまたやるのは、すごいことで、一緒にやらせていただけることは有難いことだと思っています。一緒にできることを無駄にしないように、愛希さんという新しいエリザベートを迎えますので、トートとしては2人を支えて、最後には命を奪いますけれど、支えつつ奪いつつ、大きなカンパニーで長い公演ですが、作品のテーマとは裏腹に元気にやっていきたいと思っております。
愛希:私もこの作品も大好きで出演できることを幸せに思います。素晴らしいキャストのみなさまと、花總さんとWキャストでさせていただくことを本当に光栄に思うので、いっぱい学び、全力で取り組んで参りたいと思います。よろしくお願い致します。
花總:またこうして今年、2019年のエリザベート役で出演させて頂くのはありがたいことだとつくづく実感致しました。一回一回を大切に、心残りのないように最後まで素晴らしいキャストの方々と一緒に、2019年版の『エリザベート』を一生懸命に作り上げたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。

ミュージカル『エリザベート』
日程:2019年6月7日(金)~8月26日(月)
会場:帝国劇場
脚本/作詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出/訳詞:小池修一郎

出演:
エリザベート役:花總まり/愛希れいか(Wキャスト)
トート役:井上芳雄/古川雄大(Wキャスト)
ルイジ・ルキーニ役:山崎育三郎/成河(Wキャスト)
フランツ・ヨーゼフ役:田代万里生/平方元基(Wキャスト)
ルドルフ役:京本大我(SixTONES)/三浦涼介/木村達成(トリプルキャスト)
ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ役:未来優希
ゾフィー役:剣 幸/涼風真世/香寿たつき(トリプルキャスト)

エルマー(ハンガリー貴族)役:植原卓也
マックス(エリザベートの父)役:原 慎一郎
ツェップス(新聞の発行人)役:松井 工
リヒテンシュタイン(女官長):秋岡美緒
ヴィンデッシュ(精神病患者):真瀬はるか

<アンサンブル>
朝隈濯朗 安部誠司 石川 剛 奥山 寛  川口大地 後藤晋彦 佐々木 崇 白山博基 田中秀哉 福永悠二 港 幸樹 山田 元 横沢健司 天野朋子 彩花まり 池谷祐子 石原絵理 伊藤典子 彩月つくし 七瀬りりこ 原 広実 松田未莉亜 安岡千夏 山田裕美子

<トートダンサー>
乾 直樹  五十嵐耕司 岡崎大樹 小南竜平 鈴木凌平 谷森雄次 楢木和也 渡辺謙典

公式サイト:https://www.tohostage.com/elisabeth/