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「通をうならせるテイストの作品になる」 舞台『Little Voice(リトル・ヴォイス)』 高橋和也 インタビュー

1992年にロンドンで初演。1998年には映画化され、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞受賞、アカデミー賞助演女優賞ノミネートと話題となった『リトル・ヴォイス』が、2017年5月15日から天王洲 銀河劇場を皮切りに上演される。

物語の主人公は、部屋に引きこもりジュディ・ガーランド、マリリン・モンローなど往年の有名歌手たちのレコードを繰り返し聴くうちに、そのモノマネを完璧にマスターしてしまった少女、リトル・ヴォイス。
この難役に、昨年地球ゴージャスプロデュース公演Vol.14『The Love Bugs』で堂々と初舞台を飾り、昨年末にはミュージカル『わたしは真悟』に出演した、大原櫻子が挑む。すでに歌も演技も、そして舞台度胸も実証済み。満を持しての初主演舞台と言えそうだ。

リトル・ヴォイスの母親、マリー・ホフ役には、日本のミュージカル界に欠くことができない女優となって久しい安蘭けい。リトル・ヴォイスに恋する青年に、多くの映像作品への出演の他、昨年、鴻上尚史作・演出『サバイバーズ・ギルト&シェイム』にて舞台初主演を果たした山本涼介
そしてマリーの恋人で、マリーの家を訪ねてリトル・ヴォイスの声を偶然耳にし、才能を感じて売り出そうとする音楽プロデューサーのレイ・セイ役を、映像・舞台に幅広く活躍し、さまざまな役で深い印象を残す俳優、高橋和也が担う。

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今回、Astageはビジュアル撮影を終えたばかりの高橋和也を訪ね、舞台『Little Voice(リトル・ヴォイス』の魅力を聞くとともに、その活躍の秘訣を尋ねた。

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―今日はレイ・セイ役のビジュアル撮影をされたとのことですが、いかがでしたか?
とても良い手ごたえを感じました。この役をやることになって台本を読んだ時に「レイ・セイは、こんなファッションの、こんな感じの男じゃないかな」と提案をさせて頂いたんです。スタッフのみなさんも「面白いね」と言って下さって、今日はそれが実現しているので「いい感じでスタートを切れたな」と思っています。

―具体的には、どんなことでしょうか?
そうですね。レイ・セイはいわば山師です。もちろん音楽プロデューサーとして音楽やエンターティメントの世界が好きで、その魅力に取りつかれているんですが、それだけじゃない。成功してやろうと、いろいろやっているわけです。そういう音楽プロデューサーの男としての匂いみたいなものを、どうやったら表現できるだろうと考えた時に「髪の毛は、ちょっと濡れているような感じじゃないか」「目の輪郭が見えているような薄い色のサングラスをかけているんじゃないか」「口髭をはやしていて、シャツの第二ボタンまで開いているような男だろうな」というような漠然としたイメージをお話しして、それが今日のセッションになりました。非常に満足できましたね。

―レイ・セイという役は、ご自身としても楽しみな役柄なのですね?
今の年齢だからできる役で、願ったり叶ったりです!脚本を読んだ時に「この役はおもしろいぞ」「いい役だな」と思いましたね。(笑)
そして「幅の広い役になるといいな」と思っています。「レイ・セイはなぜ、そこまでリトル・ヴォイスにのめり込むのか?」と考えてみると、ピュアなところをもっている人なんです。役を発見していくプロセスでは、こうだと思っても、その先に見えてくるものというのが絶対にあります。そうした人間の多面性をレイ・セイの中に蓄えて、お客様の観方によっては「ズルい、いやらしい男」にも「すごい情熱家」にも見える。プリズムみたいに多面的な存在であるといいなぁと思います。

―作品としての面白さは、どう感じておられますか?
98年にニューヨークで初めて本作の映画を見たのですが、やはり音楽マニアにはすごくアピールする作品だと思います。往年の大歌手たちの名曲を揃えていますから、ジャズファンやポピュラーファン、特にコアに音楽が好きだった方には、そそられるテーマだと思います。この作品は、ちゃっちい作りじゃない。通をうならせるテイストの舞台作品だと思います。そこをうまく出したいですね。ハードルは高いです。

―リトル・ヴォイスが、ジュディ・ガーランド、マリリン・モンローなど、大物のモノマネができる。それだけでもハードルが高いと思いますね。
はい。そこは、大原櫻子ちゃんが本気になって取り組めば、みんながびっくりすることになるんじゃないかと思います。この作品のお話を頂いた時に「誰がリトル・ヴォイスをできるのか?」と思ったのですが、大原櫻子ちゃんの武道館ライブのDVDを拝見して「彼女なら!」と思いました。才能を感じます。

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―才能といえば、高橋さんが才能を発見したり、新たな才能を感じたりされたことはありますか?
この仕事をしていると、19才20才…自分の子供より若い人たちとも一緒にやるわけですが、「俳優としてすごい才能持っているんだ」と感じる人たちはいますね。勝ち残って現場に来る子たちには明らかに何か、普通とは違うものは持っています。センスが全然違ったり、すごく情熱的なものをもっていたり。「何だろう、この子」というような、それまでにある枠を超えた新しい人たちは、出てきていますね。

―センスのようなものだけじゃなく、情熱も才能のひとつですか?
情熱がないとしつこくなれない。エンターテイメントは、何度も失敗して、何度もチャレンジするしかない世界なので、しつこさや執着と言えるくらいの情熱をもっていないと、なかなかその先にはいけないのです。

―高橋さんご自身も、情熱で乗り越えてきた時代があるのでしょうか?
ありますね。負けず嫌いだったし、一番になりたかったし。でも絶望するわけです。それでも何度もトライして、やっと土俵にあがっても投げ飛ばされるんです。それでも「もう一度立ちたい」という気持ちがあったから、今でもやっているのだという感じがします。

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―今は、多方面で活躍されていますね。高橋さんが出演されることで「これは、面白いぞ」と思う方も多いと思います。高橋さんも楽しくお仕事をされておられるのかなと拝見していました。
いやぁ、これしかないんですよ。この仕事が大好きなんでしょうねぇ。(笑)他になんにもないんです。ゴルフやりたいわけじゃない、麻雀もやらない。他にやることがない。この仕事をやることが、自分の生きがいで、それしかない男です(笑)。
ただ俳優の先輩方を見ていても、「とにかくこの仕事が好きなんだ」という方が多いです。

―では具体的に1つの役をやる時、どの段階が一番楽しいのでしょうか?
最近面白いのは台本をもらって全体像を見つつ「分かんないなぁ…。こいつ、どういう人なんだろう?」と演じる人物について考えている時ですね。分からないところをどうやるか。そこが苦しいのだけど、一番面白いところだという気がします。

―その面白さは舞台でも映像でも同じですか?
人物を探求するという点で基本的には同じです。ただ舞台は長時間稽古をして、演出家に何度もいろいろな角度から責められながら「あっ、そういうこともあるのか」と発見しながらですが、映像の場合はちょっとしたしぐさで変わってくる。上を向くというだけですごい表現になるということがあったり、「そこでちょっと笑って」と言われて、自分では腑に落ちなくても、映像表現としてすごく大きな意味を持っていたりすることがある。それは演技とは別に存在している感じがあります。だから舞台と映像と違うところもありますね。

―興味深いお話をありがとうございました。最後に『Little Voice(リトル・ヴォイス)』を、観ようか、どうしようか、まだ迷っている方に、ひとことお願いします。
舞台ですから、正直言えば、出来上がるまでどうなるかは未知数です。でも「『Little Voice(リトル・ヴォイス)』は、すごく面白いものになる」方に賭けて頂きたいです。負けないだけのデータはいろいろ揃えましたから。(笑)
あとは稽古場で必死に格闘して、裏切らないものをつくるだけです。
才能が才能に出会い、新しいものが生まれる時を、お客様に是非観て頂きたいです。

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高橋和也 プロフィール
1988年男闘呼組として音楽デビュー、男闘呼組主演の映画に `88年「ロックよ 静かに流れよ」(長崎俊一監督)、また舞台では`90年「ペールギュント」(蜷川幸雄演出)`93年「スラブボーイズ」(ロバート・アラン・アッカーマン演出)等がある。
`93年解散後、`94年舞台「NEVER SAY DRAEM」(栗山民也演出)、映画「KAMIKAZE TAXI」(原田真人監督)で俳優活動を本格的に開始。
最近の作品に映画「そこのみにて光輝く(第29回高崎映画祭助演男優賞受賞、呉美保監督)、「太陽」(入江悠監督)、テレビ「ルーズヴェルト・ゲーム」(TBS)、「撃てない警官」(WOWOW)、「真田丸」(NHK)、舞台 こまつ座「紙屋町さくらホテル」などがある。
本年は、映画「あゝ、荒野」(岸善幸監督)「ダブルミンツ」(内田英治監督)の公開が控えている。

 

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舞台『Little Voice(リトル・ヴォイス)』
出演者:大原櫻子 安蘭けい 山本涼介 池谷のぶえ 鳥山昌克 高橋和也
★東京公演
日程:5月15日(月)~5月28日(日)
会場:天王洲 銀河劇場
チケット料金:全席指定 10,800円 ※未就学児入場不可 ※開場は開演の30分前
主催:ホリプロ/フジパシフィックミュージック 企画制作:ホリプロ
【お問合せ・チケット取扱】
ホリプロチケットセンター 03-3490-4949 (10:00-18:00/土-13:00/日祝 休)
ホリプロオンラインチケット http://hpot.jp(PC&携帯)
※そのほか、イープラス、チケットぴあ、ローソンチケット、カンフェティでも取扱
公式ホームページhttp://hpot.jp/stage/lv
公式ツイッター@littlevoice_jp

★富山公演
日程:6月3日(土) 18:30 、6月4日(日) 13:00
会場:富山県民会館 大ホール
チケット料金:S席 10,800円、A席 7,560円 ※未就学児入場不可 ※開場は開演の30分前
主催:イッセイプランニング/富山テレビ放送
【お問合せ】イッセイプランニング 076-444-6666 (平日10:00-18:00)

★北九州公演
日程:6月24日(土) 12:00 /17:00
会場:北九州ソレイユホール
一般発売開始:2017年3月4日(土)
チケット料金:S席 9,800円、A席 7,800円 ※未就学児入場不可 ※開場は開演の30分前
主催:RKB毎日放送/キョードー西日本
【お問合せ】キョードー西日本 092-714-0159