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ミュージカル『RENT』対談 平間壮一&甲斐翔真『RENT』とミュージカルへの熱い思い

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平間壮一    甲斐翔真

ブロードウェイで12年4か月のロングランを記録し、日本でも3年ぶりの上演となる大人気ミュージカル『RENT』が、今年も11・12月にシアタークリエで上演される。
今回の公演では多くのキャストが一新された。その中でも注目されるのは、前回、前々回のトランスヴェスタイト(異性装)のエンジェル役から映像作家を目指すマーク役となった平間壮一と、マークのルームメイトで人気ロックバンドのリードボーカルだったロジャー役で初参加となる甲斐翔真の二人。

今回はこのふたりが揃う稀有な機会ということで、「インタビューというよりも、なるべく対談本来のスタイルで」と、二人で話を進める形をお願いした。

では、おふたりの熱い対談をお楽しみください。

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―最初に、これだけは質問させてください。お二人の出会いは?
平間:いつ最初に会ったのか、記憶がないですが、ハンサムLIVEなどの稽古場で、いつの間に一緒にやっていた…って感じかな。
甲斐:もちろん平間さんの存在は存じ上げていましたが、「初めまして…」というのは無かったですね。
平間:きちんとやり取りをしたのを覚えているのは、『デスノートTHE MUSICAL』(以下、『デスノート』)をやるときに「何かアドバイスもらえませんか」と連絡をもらった時だね。

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―ありがとうございます!では、お二人にお任せします!
平間:そうきましたか!では…、翔真に聞きたかったのは、演技がやりたくて芸能界に入ったの?
甲斐:きっかけは原宿でスカウトされたことで、デビューは『仮面ライダーエグゼイド』(2016~17年)でした。ただ芸能界でやろうと思うエネルギーになったのは、それまでは「これになりたい」というような夢がなかったけれど「こんなに贅沢な道があるなら、やってみたい」「やらないともったいない」いう気がしたからです。 「多くの人が喉から手が出るほど欲しがっている、ものすごいチャンスだ」ということを、当時は切実にわかっていなかったかもしれませんが、その先に好きなことが見つかるといいなと思っていましたし、当時から歌うことは好きだったので、わりとすんなりと決めました。だから『RENT』のオーディションがあると聞いた時、すぐに「やりたい!」と思いました。
平間:『RENT』のオーディションには驚くほどたくさんの人が受けに来ていたね。「こんなに多くの人が『RENT』をやりたいと思っている」と実感できるのが、オーディションの良さだよね。
翔真にとってのミュージカル初挑戦は『RENT』だったんだよね?
甲斐:はい。

―それまでにミュージカルのオーディションを受けたことは?
甲斐:『RENT』が初めてのミュージカルのオーディションでした。

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―初のオーディションでロジャー役に受かるなんて、すごい!
平間:ほんとですよ!!
甲斐:オーディションの現場では「ロジャー役を受ける人だけでもこんなにたくさんいるの?!」と驚きました。
平間:『RENT』のキャストは皆がすごく『RENT』を愛しているんですよ。例えば…誰かが出演できなくなった時のために、出演者の替わりができるようにスタンバイするスウィングと呼ばれる人は、すべての役のセリフもダンスも全部を覚えている。ものすごく大変だけど「いつか『RENT』のこの役をやりたい」っていう熱い思いで、その大変なことを乗り越えている。本番には全然出られないかもしれないのに…だよ。
甲斐:え~!
平間:そういう熱い気持ちの人たちがたくさん、オーディションを受けに来ている。エンジェルのオーディションの時、一緒に受ける人で振付を覚えきれない人がいて、控室で振付を教えたこともあったな。その人もすごくエンジェルがやりたいと思っている人だったから、同じ土俵でオーディションを受けたいと思ってね。
甲斐:僕もオーディションでたくさんの人と並んで歌ったのですが、順番が最後できつかったです。緊張を超えて頭の中は真っ白でした。
平間:翔真の声は思わず「いいね~!」と言いたくなる声で、本当に歌が上手い。それを毎日聞けるなんて、俺は幸せだなぁ~!(笑)
甲斐:一緒に歌いましょうよ。
平間:舞台の上で一緒にも歌うし、Wキャストだから観客として聴ける日もあるわけ。それも『RENT』の曲で聴けるのだから、幸せだ!それが『RENT』をやるときの一番の楽しみ!
甲斐:そう言ってもらえると、それだけでやる意味があります。
平間:でも、焦る瞬間もあるよ。キャストは「どっから声が出てるの?」「人間じゃないのでは?!」と思うくらい歌が上手い人たちばかりだから。
甲斐:よく「どこから声が出てるの?」と言いますけど、本当にそう思いますよね。「どうやったら、そうなれるの?」って。
平間:しかも、そう思っていたら「今日は調子悪いわ」という声が聞こえてきたりして。(笑)

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甲斐:『デスノート』の時だと、韓国のパク・ヘナさんがすごかったです。稽古場からマイクを使うようになった時のギャップに驚きました。
平間:マイクの使い方をすごくわかっているんだね。
甲斐:日本では稽古場からセリフも歌もよく聞こえるようにやっていくけど、マイクありきで作っていくやり方を目の当たりにして、驚きました。
平間:僕たちはマイク無しで稽古するから、いざマイクを使う稽古になると、音が割れたりして、稽古場ではそこまで声を出す必要なかったね…ということもある。
甲斐:はい。それに同じ大きさの声でも、声の質でマイクが拾ってくれたり、くれなかったりする。
平間:声が広がっているとか、マイクの拾うところに声を入れているか、とかね。
甲斐:マイクの使い方だけでも本当に難しい。ただ上手く歌っていればいいってことじゃないですよね。

―出演作の振り返りはなかなかできないので、ここで少しだけ初出演『デスノート』を振り返っていただけますか?
甲斐:稽古の時は「稽古してきたことが緊張して出せないのでは」と本番が怖かったです。不安要素をなくすことに努めて稽古を重ねたら、本番では口は勝手にしゃべるし体は動く、着替えもいつの間にかしている…という感じで。(笑)公演は本当に楽しくて、とても大きな経験ができたと思います。
ただ自分が楽しむというのは前提で、不安があっては表現ができないということも分かりました。その先のクオリティを高めるということは、本当に難しくて…。やるべきことが先にもっとたくさん有るのだということもわかりました。
平間:夜神月は楽しい役だもの!
甲斐:楽しい役ですよ!普通ではできないことですからね。
平間:普段とは違うことを役でやれる。ちょっと常軌を逸していることや行き過ぎてしまう妄想は、普段の僕たちにはないけれど、それを役の上でやれてしまうということが楽しいというのは分かるな。
甲斐:いつかWキャストでやりましょうよ。
平間:そうね、俺はエルがやりたい。こういう座り方して…。(笑)
甲斐:ああ、いいですねぇ‼ 似合いそう。

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―ではお話を『RENT』に戻していただいて…。
平間:『RENT』は大きな作品で背負うものも大きい。有名な曲も多いし、「上手くやらなきゃ」という気持ちに縛られやすくなる。でも演じる側は余裕がなきゃいけない。『RENT』の世界にいるのが当たり前で、その上でやるという気持ちでいればいいんじゃないかな。振り返ってみると、俺も「上手く歌わなきゃ」とか「上手くやらなきゃ」というのがついてまわっていた気がします。そんなことを気にせず、「この仲間たちがいれば怖いものないよね」というパワーでいけたらいいなぁ。
甲斐:「上手くやらなきゃ」って、『RENT』では本当に邪魔になるんでしょうね。
平間:後から録音とかを冷静に聞き返してみると、音を外しているように聞こえることがある。でも、現場で一緒になって熱くなっていると「わかる!わかる!」と思えるのが『RENT』なんですよ。例えばジョアンヌとモーリーンが喧嘩する場面では、怒り過ぎて二人とも声が裏返ったりしても、駄目だと言う人は一人もいない。それがいい現場だね。
甲斐:僕はギターが怖いです。
平間:どう?
甲斐:今、練習しています。なんとか弾けるようになりました。

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平間:やはり『RENT』は演出家の存在がとても大きい。すごさを感じるのは、日本版の演出のアンディ・セニョールJrと振付補のマーカス・ポール・ジェームズの二人。実際にこの作品に出演していた二人で、エンジェルもコリンズも演じていたし、アンサンブルもやっていた方たちだからね。事前に教科書みたいな資料が配られたでしょ。あれもアンディがパソコンで映像などを見せながら丸一日かけて説明してくれるのだけど…。
甲斐:へ~?!
平間:今回はコロナ対策もあるから、やるかなぁ?俺は何回でも聞きたいけど。
甲斐:まだ文字でしか見てないから、『RENT』をもっと深く知りたいです。アンディは『RENT』の世界が血肉になっている方ですよね。
平間:二人の話す力はすごいよ。「そんなことを感じながら演技していたの?!」というようなことを言う。例えば「『エンジェルは今どう思っている』とか、演技しながら考えたことがない」「本当にその場の空気を読み取ろうとするだけ」と言う。
甲斐:演技に作戦とか無くやっているってことですよね?
平間:こう思わせたいとか、いやらしい考えがなく…
甲斐:それがすごく難しいのは、セリフや台本や展開は決まっているから、それに自分を寄り添わせること。大変ですよね?
平間:それは相手の役目で、相手の言葉や行動に自然に反応すればいい。ロジャーがむかつくんじゃなくて、ロジャーをむかつかせればいい。
甲斐:受け身の時は自然でいいけど、発するときは演技の意識が必要なんですね。
平間:そう。相手の芝居を受けて、こう思わなきゃは要らない。自然な反応をして、それがつながっていく。だから稽古していると、「マークが主役だ」というのがなくて「みんなが主役だ」という感じがする。実在の人物が登場人物のモデルになったらしいよね。
甲斐:作者のジョナサン・ラーソンは、自分の友人たちや本当に存在する人たちを書いたから、実際は特に誰が主役というのはない…ということでしょうか。どんな時代でどんな人生だったのかと考えるなぁ…。

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平間:以前、ミュージカル『ラディアント・ベイビー~キース・ヘリングの生涯~』という作品に出演したときに、キース・へリング美術館に行ったり、彼について話を聞いたり映像を見たりして、キースも普通の人と同じように自信もなくて落ち込むこともあるけど、自分の生み出すものを信じる力が強い人なのだと知った。普通に絵を描けばすごく上手いのに、子供たちにも残る絵を描きたいという思いで描くから、あの棒人間のような絵になった。自分を信じる強さやパワーが、この時代にはあって「かっこいいな」と思った。マークやロジャーにも、その熱さがあるんだろうね。
甲斐:芸術家としての熱さ。
平間:最初は「これじゃだめだ」と落ち込んでいるけれど、いや「俺の信じるものはこれだ」になるまでの『RENT』。
甲斐:さっきの話につながりますね。「上手くやろうと思ってやる」のと「本気で熱中してやる」のと、結果的にどっちが受け入れられるのか…ですね。
平間:役者としても、そういうところ見習いたいです。どうしても合わせようという考えが出てきてしまう。
甲斐:「よく思ってもらいたい」と思ってしまう。
平間:そう、そして最初に台本を読んだ時に感じたことがあって、しばらくすると「この台本ってこういうことを求めているな」というところから導きだしてしまった答えが出てきて…。つい答え合わせをしてしまう自分をくやしく思って、最初に感じたままをやってみたくなったりするときもある。それで演出家と議論がはじまる稽古は楽しい。議論ができるとすっきりするけれど「それは違う。台本にこうあるでしょ」と頭ごなしに言われるのは、ちょっと苦手かな。
甲斐:『RENT』では頭ごなしはないですよね?
平間:アンディに「これってどう?」と聞くと「わかる、わかる。それもあるよね」になる。でも、「そうじゃないのもあるよ」…と次々に出てくる。ただいろいろなのがあるのはいいけれど、いろいろなのが見えすぎてしまうのはよくないと。
甲斐:なるほどなぁ。最終的には自分を信じる…ですね。
平間:それが僕たち日本人には一番難しいところだろうなぁ。印象深いのが、オープニングにみんなで登場してきて、最初にマークが発する「1991年のクリスマスイブに始める」というセリフまでの間を好きなだけとっていいよと言われていたこと。マークが何をしたいか。観客の顔をじっくり見るのもいい、言い出したくなるまで黙っていていい。マークが物語を始めたいと思ったら始めてと。
甲斐:わ~!!そんな演出家、いますか?
平間:稽古場の通し稽古では、始まるまで10分位かかった時もあったよ。

―それは村井良大さんがマークを演じられた時ですか?
平間:そう。しかも「最初に出てくるときは、役を背負っているのはマークだけでいい。他の人は役に入らないで、自分のままで出てきて」と言われていて。「どうしよう?」と思いつつの10分間。(笑) 「自分がマークをやると、どうなるのかな…?」と想像したこともありました。

―どうなりますか? 公演も1回観ただけではダメですね?
平間:毎回違うでしょうね。(笑) 朝から調子よかったら、すぐ始めちゃうかもしれないし、緊張していたら、皆をゆっくり見渡したりして。
甲斐:それは醍醐味ですね。
平間:マークを演じるのが、怖くなってきたな。でも、あの時間はマーク役が自由にできる。そして始まったら止められない。楽しみだ!
それから「がんばらなくてもいい。おまえと役とは体は一つしかないんだから」とも言われたよ。たとえば「風邪をひいて熱がでていたとしたら、熱がない振りをしてやっているのを見る方が気持ち悪い」と。熱があるマークでいいんだと。
甲斐:すごいなぁ。

―お二人の生き様が見える『RENT』ですね?
平間:はい。もし演じようとしている翔真が見えたら、先輩パワーを初めて使いますね。「翔真、ちょっと頑張り過ぎかなぁ~」と。
甲斐:優しい!喝を入れられるかと思いましたよ。ただ、頑張らないって、難しいですよね。
平間:そう、つい頑張ってしまう。普通の自分でいることは、やはり難しいし、恥ずかしい。「普通の人間です」とさらけ出すようなものなので。そこはやはり稽古場で、少しずつね…。
甲斐:楽しみになってきました。
平間:恥ずかしがらずにやっていこう!

【確定】RENT2020メインビジュアル(Photo by Leslie Kee)

ミュージカル『RENT』
2020年11月2日(月)~12月6日(日)東京 シアタークリエ
2020年12月 愛知公演

脚本・作詞・音楽:ジョナサン・ラーソン
演出:マイケル・グライフ
日本版リステージ:アンディ・セニョール Jr.

キャスト
マーク:花村想太(Da-iCE) / 平間壮一 (Wキャスト)
ロジャー:堂珍嘉邦(CHEMISTRY) / 甲斐翔真 / ユナク(SUPERNOVA) (トリプルキャスト)  (ユナクの出演辞退によりダブルキャストで上演 9/16 追記)
ミミ:遥海 / 八木アリサ (Wキャスト)
コリンズ:加藤潤一 / 光永泰一朗 (Wキャスト)
エンジェル:RIOSKE(COLOR CREATION) / 上口耕平 (Wキャスト)
モーリーン:フランク莉奈 / 鈴木瑛美子 (Wキャスト)
ジョアンヌ:宮本美季
ベニー:SUNHEE / 吉田広大 (Wキャスト)
ICHI、コリ伽路、奈良木浚赫、小熊綸、吉田華奈、吉原シュート

ロジャー役のユナク(SUPERNOVA)、ベニー役のSUNHEE(2019年1月にNALAW(Naro)から改名)は、11月20日以降の出演に向けて現在準備を進めているが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う入国制限により、やむを得ず出演が変更になる可能性がある。

公式HP : https://www.tohostage.com/rent2020/

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