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「音楽を聞いただけで体が反応する!」泉見洋平&上原理生が「ミス・サイゴン」の魅力を熱弁! 映画『ミス・サイゴン 25周年記念公演 in ロンドン』トークイベント

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映画『ミス・サイゴン 25周年記念公演 in ロンドン』のトークイベントが、2月27日、東宝東和試写室にて行われ、帝劇版で2004年から2014年までトゥイ役を演じた泉見洋平と、2012年から2016年までジョン役を演じた上原理生が登壇。「ミス・サイゴン」出演の思い出とともに作品への熱い思いを語った。

1989年にロンドン・ウエストエンドで初演され、今なお世界中の観客を魅了し続けている、ミュージカル界の金字塔「ミス・サイゴン」。本作は、2014年9月、ロンドンのプリンス・エドワード・シアターで上演された25周年記念公演を最新の技術を駆使して撮影し、圧倒的な迫力と臨場感あふれる映像で映画化。また、映像の最後には25周年記念スペシャル・フィナーレでは、特別ゲストにオリジナルキャストであるジョナサン・プライス、レア・サロンガ、サイモン・ボウマンらサイゴン・ファミリーが集結! 新旧キャストの夢の共演が実現した。

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ミュージカル「ミス・サイゴン」の魅力について、泉見は「音楽が素晴らしい。2年前に(ミス・サイゴン出演を)卒業した僕ですが、今でも 『ミス・サイゴン』の音楽が聞こえた瞬間に体が思わず反応してしまいます」と語ると、上原も「音楽が聞こえると舞台上の景色が蘇りますね」と同調。さらに「ベトナム戦争に巻き込まれた人々。その酷い戦争の中で生まれた愛、『絶対に生きてやるんだ』という人としての強さが、観る人を惹きつけてやまないのではないのでしょうか」と、続けた。

約10年間トゥイを務めた泉見は、「355回出演しましたから、キムに355回撃たれているわけです(笑)」と言って会場を沸かしつつ「舞台上でしか現れない情念がその度に生まれるんです。“演じる”ということを超えて、舞台上でその役を生きなければこの物語を皆さんに伝えることはできないと思った。本当に死んでもいいと思うくらいの覚悟で臨んでいましたね。毎回殺されたあとに、(現実に)戻ってこれない感じでした」と振り返り、役に対する熱量の高さを伝える。

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一方の上原は「ちょっとつまらない話ですけど・・・」と前置きをして「ジョンがバンコクでキムと再会し、今のクリスの状況を伝えるとき、『帰国(きこく)した彼はね・・・』というセリフを『ちこく(遅刻)した彼はね・・・』と、今年の1月の大阪公演で言ってしまったんです」と、エピソードを明かし「一気に、学園物語になっちゃって。俺、先生かな?って(笑)。あの時は凄くへこみましたね。一生懸命生きているのに・・・」と、会場の笑いを誘う場面も。

「そんな話ならたくさんあるよ」と泉見。「舞台上ではリアリティを追求しているため、キムのカバンの中には本当にキムの持ち物が入っているんです。銃を取り出そうとしたら、お祈りする大仏が出そうになったり・・・それだと2時間ドラマの撲殺になっちゃうからね」と言って笑わせた。

オリジナル公演はオートメーションで動いているため、コンピュータがフリーズして舞台が中断しまったというアクシデントもあったという。「亡霊のメイクを半分落として40~50分待機させられたこともありましたね」と泉見。
そんな泉見の印象を上原は「特に亡霊のシーンは、キムへの情念が鬼気迫るというか、本当に怖かった」と興奮ぎみに話すと、「ちょっと待って。あれは僕(トゥイ)じゃないからね。キムがナイトメア(悪夢)を見て、『私は幸せになってはいけないんじゃないか』というトゥイを殺してしまったことへの後悔の気持ちから出てくるもの」と説明。「まぁ、(出ているのは)トゥイですけど(笑)。できれば100%以上の力を出して呪ってやろうと思っていました」と笑った。

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泉見から見た上原を「新演出になってからボートピープルは、トゥイやジョン、クリス、エレンも全員紛れて出ているんです。GIの格好をして決めていたジョンですが、ボートピープルの衣装もすごく似合っていた。この人は振り幅の広い役者さんだなと(笑)」と印象を明かすと、上原も「ボートピープルの衣装に着替えたら、やる気が一切出なくなったんです。本当に衣装の力はすごい」と、演技だけではない舞台の力に驚いていた。
泉見が「あと、ポロシャツをあれだけ着こなしている人は他にはいないね」と褒めると、上原自身も「納得です!」とニンマリ。

この日、視聴者とともに本作の映画を観た二人。泉見は「涙、涙で感動しました。まず音楽だけでキュンキュンしてしまいました。普通の舞台映像を録画したものではなく、様々な映像がインサートされていて、カット割りなどはライブ映像を超えた映画版になっている。新しい『ミス・サイゴン』を観たような気がします」と絶賛。上原も「本来、舞台ならではの見せ方がある」とジェスチャー付きで説明しながら、「ローレンス・コナーにも『プレゼンテーションはしなくていい、お客様の目は気にしないくていい』と言われた」と「ミス・サイゴン」特有の舞台演出方を語り、「(舞台自体が)まさに映像世代に観せる芝居になっていて、その演出が映像に上手く生かされている。また舞台で受ける印象とは全然違い、細かい表情が見えて全く違和感なく映像として生きている。一つの映画として楽しめました」と感慨深げに感想を述べた。

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「もしアップを撮られるとしたらどのシーン?」と観客からの質問には「トゥイが殺されたときの表情」と泉見。上原は「2幕で、ホテルでキムと対峙しているときの表情ですね」と答えた。

さらに「カーテンコールの映像は、感動以外の何ものでもないですね」「演出が粋!」と声を揃える二人。「サイゴン・ファミリーとして誇らしい気持ちになりました」と満面の笑みを浮かべ、最後は「世代を超えて共有して楽しめる。多くのメッセージを感じ取ることができる作品です。この作品をご覧になるお客様も“サイゴン・ファミリー”です」とアピールし、イベントを締めくくった。

『ミス・サイゴン 25th』メインビジュアル(横)

「ミス・サイゴン」とは-
初演は1989年9月20日、ロンドン・ウエストエンド。作詞・作曲は「レ・ミゼラブル」の作詞・作曲も手掛けたアラン・ブーブリルとクロード・ミッシェル・シェーンベルクのコンビである。ベトナム戦争末期のサイゴンのナイトクラブで働く少女キムと、アメリカン大使館軍属の運転手クリスとの悲恋が描かれる。

<ストーリー>
1970年代のベトナム戦争末期、爆撃で故郷の村と両親を失ったキムと、長引く戦争に対する疑問と虚無感にさいなまれるアメリカ兵クリスは、エンジニアの経営するナイトクラブで出会い、急速に惹かれあう。だが、サイゴン陥落の中、非情にも2人は引き裂かれ、クリスはキムを残しベトナムを去ってしまう。
戦争が終わり、キムはクリスの帰りを待ちながら彼との息子タムを育て、懸命に生きていたが、帰還したアメリカで今もベトナムの悪夢に苦しむクリスは、妻エレンと共に新たな人生を歩き始めていた。時がたち2人が再会するとき、キムは愛するタムを前に、ある悲壮な決意を固めるのであった。

『ミス・サイゴン:25周年記念公演 inロンドン』
出演:エンジニア役:ジョン・ジョン・ブリオネス、キム役:エバ・ノブルザダ、クリス役:アリスタ・ブラマー、エレン役:タムシン・キャロル、ジョン役:ヒュー・メイナード、トゥイ役:ホン・グァンホ、ジジ役:レイチェル・アン・ゴー
<25周年スペシャル・フィナーレ ゲスト出演>
ジョナサン・プライス、レア・サロンガ、サイモン・ボウマン
製作:キャメロン・マッキントッシュ
脚本:アラン・ブーブリル/クロード=ミッシェル・シェーンベルク
配給:東宝東和株式会社
制作:ユニバイーサる・ピクチャーズ
オフィシャルホームページ:http://miss-saigon-movie-25.jp/
上映時間:3時間7分 ※休憩2回含む

コピーライト:© 2016 CML

3月10日(金)より TOHOシネマズ 日劇他にてロードショー