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中川大志「学生時代の空気を大切に撮った」 中川の監督手腕をプロデューサーも称賛! 『アクターズ・ショート・フィルム3』「いつまで」特別上映&監督登壇イベント

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5人の人気俳優がショートフィルムの監督に挑戦!
『アクターズ・ショート・フィルム3』
特別上映&監督登壇イベントレポート

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2月12日のWOWOWでの放送を経て、2月23日に中川大志監督作「いつまで」の特別上映と監督登壇イベントを出町座(京都)にて、そしてリモート登壇を第七藝術劇場(大阪)、シネマ・ジャック&ベティ(神奈川)、センチュリーシネマ(愛知)、ユナイテッド・シネマ豊洲(東京)にて実施され、監督・脚本を務めた中川大志とプロデューサーの射場好昭氏が登壇した。

<舞台挨拶レポート>
2 月 23 日、『アクターズ・ショート・フィルム3』の舞台挨拶が京都の出町座で行われた。登壇したのは「いつまで」で監督を務めた中川大志とプロデューサーの射場好昭。会場に登場するや、大歓声で迎えられた中川。客席との距離の近さに中川は「ちょっと近すぎないですか?皆さんも恥ずかしいと思いますけど、僕も恥ずかしい」と戸惑いながらも、「「いつまで」という作品を初めて監督させていただきました、中川大志です」と挨拶し、「実は先ほど皆さんと一緒に客席の後ろで観させていただいて」と言うと客席からは「えー!」という驚きの声も。「編集室では何度も見ていましたが、劇場で、スクリーンで見るのが初めてだったので、お客様の空気感を感じて胸がいっぱいになって、嬉しかったです」と挨拶。

サブ

『アクターズ・ショート・フィルム3』に参加した心境について中川は、「企画自体は知っていましたが、まさか自分に声をかけてもらえるとは思わなかったので嬉しかった。学生時代に友達と遊びでやっていたけど、WOWOW さんの全面的なバックアップで初めての監督ができるものすごく贅沢なチャンスを頂いて、飛びつきました」と明かした。

一方、中川にオファーしたきっかけについて射場プロデューサーは、「第 3 弾になったので、我々も細かくアンテナを張っており、映画に愛されている、映画の匂いがする俳優さんだな、と。現場が好きそうだな、クリエイティブなことに興味がありそうだなという俳優さん」だと中川のことを感じていたそう。すると中川が「僕が監督やりたい。機材が好き」と言ってたんですよね」と主張し、プロデューサーが「電波を感じました」と返すと会場からは大きな笑い声が起きていた。中川が「言っておくもんですね」と言うと、プロデューサーは「ただ単にやりたいって言ってるだけじゃ駄目なので、この人だったら映画に向いているだろうなという人にお願いした」と返し、中川も「誰でもできるわけじゃない。選ばれし 5 人ですから」と言うと、プロデューサーは「マッチングアプリでマッチングした(笑)」と返し、息の合った掛け合いで会場を笑わせていた。

本作の構想については「お話をいただいてから企画はゼロから立ち上げた」と前置きし、「どんな色を出せるのかと考えて。これまでのアクターズ・ショート・フィルム1~3を通じて僕が最年少の監督だったので、この世代だからこそ残せるエネルギーのある作品にしたい」というのが発端だったそう。さらに、「高校生の時に同級生と公園で深夜のノリで撮っていたのが楽しくて。その延長線上で、プロフェッショナルな大人たちのバックアップがありつつ、学生時代の空気を大切に撮った」と撮影する上で大事にしたことを語った。その上で中川が、「だから深夜になったのかも」と言い、「スタッフさんたちからはクレームもあった」と裏話を語ると、会場からは大きな笑い声が。プロデューサーが「倍ぐらいの年の大人たちだから」とフォローし、「だんだん学生時代の気分になってた」と現場の青春のノリを語ると、中川は「2徹しました」と過酷さはあっても青春時代の雰囲気だった撮影について語っていた。

「キャラクターの裏設定があれば教えてください」という質問に中川は、「凝縮された世界の中でキャラクターをお客さんに理解してもらって、好きになってもらわなきゃいけない。説明しすぎずに表現したかったので、細かい設定は僕の中に持っていたし、3 人からアイデアももらっていた」と言いながらも「あんまり決め込みすぎずにやっていた」と説明すると、プロデューサーは「初めて監督する方は余分に盛り込んだりする人が多い中、中川監督はスパッと切っていた」と監督の手腕を称賛。中川も「お客さんをどこまで信じるかが大事」と言い、「それぞれの受け取り方が違ってもいいから、25 分という時間の中で余白を大きくした方がいいと判断」したそう。

「自分の頭の中で想像していた以上になったシーンは?」という質問に中川は、「実は、田んぼ道でスマホのライトを頼りに結婚行進曲を歌うシーンはなんでもないシーンだと思っていた」と言い、「初めて編集室で見た時に泣けてしまった」と初めて見た時の心境を吐露。「ジャンプカットと言って、間をぶつ切りにしようと思っていたのに、あのシーンがこの映画でやりたかったことなんじゃないかと。学生時代じゃないから半年、1 年会ってなかったはず。あの一晩で関係性を取り戻していく過程を大事にしたかったので、それが詰まっていてグッときたシーンなんです」とシーンに込めた思いを話すと、プロデューサーは「めちゃくちゃ遠くから撮っていた」と裏話を披露。会場からは大きな笑い声が起きていた。中川も「普通に近所迷惑ですよね(笑)。明け方に近いような夜中に大声で、近所の方は起きたと思う。開けている場所なので、響いていたんじゃないかな」と撮影の裏話を語っていた。さらに続けて、中川はこだわっていたポイントとして「夜の街に人の気配を極力感じさせないようにしていた」と語った。

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「泣く泣くカットした場面は?」という質問に中川は、「あります」と即答。「オフショットでは出ているのに、あれ?と気づいている方もいるかも」と前置きし、「けっこう切りました」とぶっちゃけると、プロデューサーは「ズバッといくんですよ。初めてではなかなかできない」と称賛。中川が、「ダッシュで3人が駆け抜ける、大掛かりなトンネルのシーンがあったんです」と言うと、会場からは驚きの声が。プロデューサーが「めちゃくちゃロケハンしたのに、相当ダメ出ししてました」と暴露すると、中川は「このトンネルじゃない、と」と笑わせ、「いざ見つかって、並走するスタッフさんも用意して、3人には200M ぐらいの距離をトータルで 10 本ぐらい全速力で走らせたところを、丸々カットしました」と言うと会場からは「えー」という大きな声が。続けて、「編集室で発見があった」と言い、「25 分という制約がなかったらトンネルのシーンを入れたのかと言われると、そうでもなくて。残酷な話なんですが。あんなにトンネル探してくれたのにすみません。いっぱいシーンがあればボリュームを感じてもらえるかというとそうでもない。削ぎ落とすことでテーマが明確になることを今回、編集室で勉強になった」と監督を務めたことで学びがあったと語った。プロデューサーは「それが監督だということですよね。周りは泣く泣くですけど」と笑わせ、中川が「この3人に会うのが怖い」と心境を吐露すると会場からは大きな笑い声が起きていた。プロデューサーが「井之脇くんと「レオス・カラックスの『汚れた血』みたいで編集楽しみだよね」と言っていたのに」と追い打ちをかけると中川は「会うのが怖いです」とこぼしていた。

「駅長役(田中直樹)の方が教えてくれたポーズは監督が考えたのでしょうか?」という質問に中川は、「がに股とは書いてあったけど、田中さんとどういうポーズがいいかな?という打ち合わせをして、田中さんのアイデアでもある」と言い、続けて、「キャスティング会議で、田中さんが頭の中に出てきた時に、「勝ったな」と思った(笑)」と心境を語ると会場からは大きな拍手が。「田中さんのファンタジックさというかミステリアスな雰囲気。田中さんのサイコパスっぽいイメージがぴったり」とキャスティング秘話を語り、さらに「駅長が実は存在してなかったというオチも考えた」と裏話を語っていた。

「撮影現場での掛け声をしてほしい」という質問に中川は、照れくさそうに「いっぱいいっぱいだったから現場では助監督さんに任せていたので、あまり言ってないんですが」と言いながら、プロデューサーから本番前のような振りを入れてもらい、「本番、よーい、はい!」と掛け声をかけると、会場からはこの日一番の大きな拍手が。

最後に中川が「今日はすごく楽しかったです。こんな距離感で皆さんとお話することもないですし。監督として作品づくりの過程を踏ませていただいて、初めての現場を経験し、取材を受け、舞台挨拶に立ちましたが、監督としてお客様が自分の作品を観ている姿を後ろから見て、自分の出演作を観てもらうのとはまた違って、こんなにもドキドキするものなのかと思いました。笑いが起きていたりするのも嬉しかった」と感慨深げに話し、「演じる側の時もお客さんにどういう風に届けたいのかを大事にエンタテインメントを作っているつもりですが、今回、監督させてもらって、自分の作品が届く瞬間に立ち会うことができて、やりがいのある仕事だと肌で感じました」と真摯に語り、「作品には自信があります。こういう機会をいただけて感謝しています。これからも色んな手段で見てもらえたら」と語り、舞台挨拶を締め括った。中川大志監督の「いつまで」を含む「アクターズ・ショート・フィルム3」は WOWOW オンデマンドにて配信中。

タイトル:「アクターズ・ショート・フィルム3」
『CRANK-クランク-』監督/脚本:高良健吾 出演:中島歩 染谷将太
『COUNT 100』 監督/脚本:玉木宏 出演:林遣都
『Prelude ~プレリュード~』 監督/脚本:土屋太鳳 出演:土屋太鳳 有村架純
『いつまで』 監督:中川大志 脚本:増田嵩虎 出演:井之脇海 板垣瑞生 林裕太
『虎の洞窟』 監督/脚本:野村萬斎 出演:窪田正孝

チーフプロデューサー:射場好昭
コンテンツ戦略:仁藤慶彦
プロデューサー:小室秀一 宮田幸太郎 和田圭介
制作担当:谷村龍
割作プロダクション:スタジオブルー
製作著作:WOWOW
クレジット:(C)WOWOW

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『アクターズ・ショート・フィルム3』
特別上映&監督登壇イベント
18日(土)・19日(日)・23日(祝・木)実施