ケータイ小説サイト「野いちご」にて、小説コンテスト「野いちご大賞」を受賞した丸井とまとの「青春ゲシュタルト崩壊」を原作に実写映画化した映画『青春ゲシュタルト崩壊』。
IMP.の佐藤新と渡邉美穂をW主演に迎え、ドラマ「Eye Love You」を手掛けた三浦希紗が脚本を務め、期待の若手監督・鯨岡弘織がメガホンを取り、誰もが共感できる新たな青春ムービーが出来上がった。派手な見た目と乱暴な態度で教師から目をつけられているが、人一倍“痛み”に寄りそえる高校2年生の朝比奈聖を佐藤、自分の顔が認識できない【青年期失顔症】になってしまう間宮朝葉を渡邉が演じる。
自身の学生時代を重ねながら役と向き合ったという主役の2人に、撮影を振り返りながら本作の魅力について語ってもらった。
― まずは、本作の原作もしくは脚本を読んだときの感想と、役をどのように捉えて演じようと考えられたか、教えていただけますか？
佐藤新（以下、佐藤）：ここまで共感性の高いストーリーを久しぶりに読んだと思いました。自分の経験がフラッシュバックするような作品。高校生のときに感じていた人間関係の悩みや、懐かしさを感じるようなリアルな会話など、甘酸っぱさもあり、人が味わう苦しさ、脆さ、優しさ、希望･･･、色々なものが詰まった作品だなと思いました。
聖は、朝葉とは似ていないように見えるけれど、実は似ているところがあるんだろうなと感じて、凄く強そうに見えるけれど、朝葉のように繊細な一面もある。聖を演じる上で、ただ自己主張が強い男の子にはならないようにしたいと考えて臨みました。
渡邉美穂（以下、渡邉）：私は、学生が人間関係に悩み、必死にもがいていく姿を描く青春物語の作品に出演することが憧れでした。私は中学・高校生の頃に携帯小説サイト「野いちご」のユーザーでしたし、この『青春ゲシュタルト崩壊』をやらせていただくと聞いたときは本当に嬉しかったです。最初に原作を先に読ませていただきましたが、この物語にはなかなか人には言えない悩みや葛藤が描かれていて、私も10代の頃に同じような悩みがあったけれど、周りに言えなかったことを思い出しました。同じような気持ちを経験したからこそ、きっと自分に表現できるものがあるだろうと思って、大事に繊細に演じていこうと。大人になると、その頃の悩みはとても小さなことだと思えるかもしれませんが、学生の頃はどうしてもコミュニティがほとんど学校か家しかなかったので、私は学校で1つ問題が起きたらそれがもう一大事だったので、その頃の感覚を大事にしたいと思いました。
― とても丁寧に心情を描いた作品ですが、佐藤さんはご自身の経験がフラッシュバックしながら演じられたとのことですが、ご自身とキャラクターの共通点は何かありましたか？
佐藤：どこか自分に自信があって、でもふとしたことで落ち込んでしまう･･･、強いのか、弱いのかよくはわからなくて、少し波があるところは聖と重なる部分もあるのかもしれないなと感じました。強気に見えるけど、内面はとても繊細というか･･･。
渡邉：朝葉は周りから優等生と思われていて、そのイメージを崩さないように「大丈夫、大丈夫」と言って、色々抱えてしまう女の子なんですが、私も「ちゃんとしないといけない」という思いが強くて、あまり弱さを見せられないタイプなので、そこは凄く共感できるし、自分と似ているかもしれません。
誰でも言葉とは違って、本当は大丈夫じゃないときがあると思いますが、私もそういうときでも無理して頑張っちゃうことが今でもたまにあって。無理しすぎず楽に肩の力を抜いて生きていける方法を見つけられたらいいなと思います。どうしても頼まれると断れないタイプなんです。あまりにしんどいときは、「ごめんね」と言えるようにはなってきましたが、昔からそうでしたね。頼まれたら全部やらなくちゃいけいない、断ったらもう頼ってもらえないかもしれないと思ってしまっていたので。
― なるほど。お二人ともキャラクターにご自身を重ねながら役と向き合っていったのですね。ところで、この物語のキーともいえる「青年期失顔症」という言葉を聞いたときにどのように感じられましたか？
佐藤：「青年期失顔症」という症状が実際にあったら、学生に限らず、社会人もそうですし、どれほどの人が発症してたんだろうと。もし本当に（「青年期失顔症」というものが）あったら自分もその症状が出ていた時期があったかもしれないと思うので、とても考えさせられました。
渡邉：確かに、本当にあったらびっくりしますよね。ある日突然自分の顔が見えなくなるって。
― 渡邉さんはその症状になった役を演じるのは大変だったのでは？
渡邉：実際は見えているので、見えていないお芝居は難しかったです。でも、自分が実際になったらどうしようと、凄く考えました。今、世の中にこのような症状はないと思いますが、精神的に辛くて何かを抱えていても、「自分の思い過ごしかもしれない」「ちょっと疲れているだけ」と感じている人たちがたぶんいると思うんです。それが、実際に自分の顔が見えなくなるような症状が出てしまうと、もう気のせいではないし、思い過ごしでもなくて、受け入れるしかないですよね。だから、自分が見て見ぬふりをできないような症状が出たら凄くショックですし、お芝居をしながら凄く辛いなと思いました。
― 冒頭の会話に出てくる「学校って水槽みたい･･･」という言葉がとても印象的です。これは、“学校”を“職場”や“サークル”、“友達同士”など、色々な状況に換えて考えることができるかと思いますが、どのように捉えましたか？
佐藤：僕も昔は人間関係に悩んでいたときがあって、みんなに置いてかれないように、自分の意見を押し殺して周りに合わせたりしていた時期もありました。人間関係を上手くやっていくために言葉選びも考えたりして、そんなもがき苦しんでいるようなときは、本当に水槽の中にいるみたいです。なので、「学校って水槽みたい」というワードを生み出した丸井とまとさんは本当に天才だなと思いました。
渡邉：めちゃくちゃわかる！どこまでいっても、いつか鉢合わせてしまうし、顔を合わせるのが辛い相手を避けても、気づいたらどこかで関わってしまうし、逃げ場のない環境って結構しんどいですよね。
― ところで、今作が初共演とのことですが、最初に会ったときの印象と共演してから印象が変わった点などあれば教えていただけますか？
佐藤：渡邉さんは、凄く明るくて気さくで、話し話やすそうだなという印象でした。実際に撮影に入ってみると話しやすくて、主演としてお芝居をしやすい環境をしっかり作ってくださってありがたかったです。普段がとても明るいので、逆に役に入ったときのギャップが凄くて、カッコいいなと思いましたね。僕も俳優として刺激をたくさん受けました。僕はお芝居が拙いところがいっぱいあったかもしれませんが、感受性豊かで柔軟に受け止めてくださって本当に感謝しています。
渡邉：ありがとうございます(照れ笑)。私は佐藤さんと共演させていただくことが決まってから、YouTubeでIMP.さんのミュージックビデオを見させていただいたんですが、「凄くキラッキラしてる！」と思って。なので、アーティストっぽくクールな感じなのかな？と思って、ちょっとドキドキしながら初めて顔合わせをしたのですが、会ったらめちゃくちゃ喋る人で(笑)。でも、それが嬉しかったですし、彼となら大丈夫、きっと現場も楽しくなるし、いっぱいコミュニケーションをとって、お芝居も上手くやっていけそうだなと不安なく臨むことができました。お芝居の仕事に対しても、アーティストの活動に対してもファンの方に対しても、どこまでも真正面から向き合う人なんだなということを、言葉の節々から感じてとても感動しました。妥協を許さないで突き詰めるっていうことができる方です。
私も皆さんの前に立つお仕事をさせていただいているので、そういう気持ちをずっと忘れたくないし、私の方こそ現場でたくさんのことを背中で見せていただき、素敵な座長でした。現場もいい雰囲気でした。ありがとうございました。
佐藤：いやいやとんでもない。そっくりそのままお返しします(笑)。こちらこそありがとうございました。
― 物語の中で、「自分の好きなものを見つけていくこと」というお話も出てきます。それにちなんで、ご自身の好きなものを教えていただけますか？
佐藤：コンサートと、キラキラしたもの！ 基本的に何でもキラキラしたものが好きで、物でもいいし、景色でもいいし、アクセサリーでもいいし、服でもよくて、キラキラしたものが好きなんです。
渡邉：ここで、「コンサート好き」とすぐに出てくるのって素晴らしいですね！
佐藤：だって楽しいでしょ！(笑)。
渡邉：そうだよね、絶対。私は、“コンサート”って言っている人の横で恥ずかしいんですけど、「家」です(笑)。あとは「映画」と「餃子」。インドア系なので、自分の家が好きなんです。
佐藤：そこは意外だよね。現場で凄く明るいから、ちょっとびっくり。
渡邉：そうなんです。家の中を充実させるのが好きで、家具のレイアウトやインテリアにはけっこうこだわって、自分の住みやすい住処を作るのが好きです。映画は昔から大好きで、このお仕事を始める前から「いつか映画のお仕事をしたい、映画を作ることに携わりたい」と思っていたので、こうやって映画の主演をやらせていただけるなんて本当に幸せです。
― 本作は、壁にぶつかったり、悩みを抱えている人に寄り添って、優しく背中を押してくれるような作品になっていると思います。最後に、映画を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いできますか？
佐藤：この作品は人間が感じる全ての感情がギュッと約2時間の中に詰まっていて、映画を観たあとは自分が生きていく上でのヒントが必ず得られると思います。脚本も素晴らしいので、ぜひ大いに期待してください。映画を楽しんでいただけたら嬉しいです。
渡邉：この作品は高校生の2人が主人公ですが、若い人に限らず生きている上で人間関係で苦しんだり、なかなか人には言えない悩み事を秘めたりしている人はいると思います。私はこの作品を通して、少しでもそういうものを吐き出せる環境だったり、相手を見つけることで、生きやすいスタンスが見つけられるのではないかと感じました。
きっと必ず誰かが手を差し伸べてくれるタイミングがあると思うので、差し伸べてくれた手をちゃんと掴めるような人間でありたいなと私自身も思いました。背伸びしすぎなくていい、完璧じゃなくていいんだと、少しでも楽に生きるヒントを見つけてもらえたらいいなと思います。
【佐藤新（Arata Sato）】
2000年9月1日、東京都生まれ。
７人組男性グループ「IMP.」のメンバー。デジタルシングル「CRUISIN’」で世界同時配信デビュー。最新シングル「Cheek to Cheek」は6月23日にリリースされる。近年の作品に映画「春の香り」がある。
【渡邉美穂（Miho Watanabe）】
2000年2月24日、埼玉県生まれ。
ドラマ「SHUT UP」（TX／23年）、「あなたの恋人、強奪します。」（ABC／24年）、連続テレビ小説「虎に翼」（NHK／24年）、「ラブライブ!スクールアイドルミュージカル the DRAMA」など女優として活躍。映画『あたしの！』（24年）では初Ｗ主演となった。
撮影：松林満美
【映画情報】
■ストーリー
ある日突然、【青年期失顔症】を発症してしまい、周囲に知られてしまうことを恐れた朝葉は誰にも言えず1人で悩んでいた。そんな、朝葉の異変に気が付いたのは、唯一、同級生の聖だった。聖は朝葉に「今までと変えなくていいの？」と問いかける。彼に振り回されながらも、朝葉は本当にやりたいこと、好きなことは何か、自分自身を見つめ直しはじめ、次第に聖の存在が朝葉の中で大きくなっていく。同じく聖も朝葉と一緒にいるうちに、ずっと抱えていた“あること”に向き合うように・・・。
◎タイトル：『青春ゲシュタルト崩壊』
◎出演：佐藤新（IMP.） 渡邉美穂
田辺桃子 新井美羽 水橋研二 濱田龍臣 藤本洸大 河村ここあ 福室莉音 愛来
戸田菜穂 ／ 瀬戸朝香
◎原作：丸井とまと「青春ゲシュタルト崩壊」（スターツ出版刊）
◎主題歌：「青空」マルシィ (UNIVERSAL SIGMA)
◎脚本：三浦希紗 ◎音楽：牧戸太郎 ◎監督：鯨岡弘識
◎企画・プロデュース：横山祐子 ◎プロデューサー：伊藤聖
◎配給：NAKACHIKA PICTURES ◎制作プロダクション：ＡＸ-ＯＮ
◎公開表記：2025年6月13日（金）公開 ◎コピーライト：Ⓒ映画「青春ゲシュタルト崩壊」製作委員会
◎映画公式サイト：https://seishun-gestalt.jp
◎映画SNS（X＆Instagram）アカウント：＠seishun_gestalt
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