映画『スクロール』の公開記念舞台挨拶が、2月4日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、W主演の北村匠海と中川大志、共演の松岡茉優、古川琴音、清水康彦監督が登壇した。
YOASOBIの大ヒット曲「ハルジオン」の原作者としても知られる橋爪駿輝のデビュー小説を原作に映画化した本作は、友人の死をきっかけに‟生きること“‟愛すること”を模索する若者たちをエモーショナルに描く青春群像劇。幼少期からの親交のある北村匠海と中川大志がW主演、さらに松岡茉優、古川琴音ら、今最も注目を浴びる実力派若手俳優陣が顔を揃え、本作の監督・脚本・編集を担当した清水康彦が務めた。
上司からすべてを否定され、“死んでしまいたい”とSNSにアップする＜僕＞を演じた北村は、役との共通点を聞かれ、「よく聞かれるんですが、そんなに感じることはないんです。でも、今回演じた＜僕＞は、理不尽の中で生きていて、自分と近い存在だと感じました」と振り返る。
“楽しければいい”と刹那的に生きてきたユウスケを演じた中川は、「僕らが喋るというより、皆さんの感想を聞きたいですね」と観客の反応を気にしつつ、「ユウスケは仕事の先輩から『何が楽しくてやってんの？』と聞かれるシーンがあるんです。目標に向かっていくことが全てになっちゃうと、そこに向かって行ったのかという志、走り出した瞬間のことを忘れてしまうことってあると思うんです。あの言葉がユウスケの立ち止まるきっかけになっていますが、僕もグサッときました」と回顧した。
常に結婚相手を探している菜穂役の松岡は「テンションが高い人と低い人を分けたときに、少しでも高い側になる人はキャラクターを決められがち。思い当たる人もいると思いますが、ユウスケと菜穂はそっちのほうで、キャラクターを演じなきゃいけないんです。“元気寄りなキャラクター”と周りから羽交い締めにされて、辛くなる時がある」とコメント。
これには、北村と中川も俳優として同じ思いがあったようで、中川は「取材でちょっと話したことが、本当ははそんなに・・・という時もある。それでもそれを守っていかなきゃと思ってしまう」と言い、北村は「暗い役も明るい役も演じますが、そのときに演じたキャラでカテゴライズされてしまう。取材の撮影などで“笑ってください”と言われることもあるけれど、喧嘩をしたシーンの後とかは難しいよね」と苦笑いした。
〈私〉を演じた古川は「〈僕〉に一番共感しました」と言い、「殻に閉じこもることで自分から社会を否定する。そのことに意地になっている感じ。そういうものが風邪のように、いまだにぶり返すときがあって、自分を見ているようなでした」と自身と照らし合わせていた。
また、一歩踏み込んだ作品にちなみ「今年踏み出したいことは？」と問われると、北村は「いまゴルフのことしか考えていないんです」と即答。今年からゴルフを始めたそうで、「大志が数年前からやっていて、現場でもゴルフの話をしていたんですけど、まんまとハマってしまった。今も頭でぶんぶんスイングしています(笑)」とニッコリ。松岡が「大人！ ゴルフをするようになっちゃったの？」と声を掛けると、幼いころからともに役者をしていた二人は、「子供の頃から撮影所で照明さんとかがスイングの練習をしているのを見かけると、おじさんになったらこうなるのかな？と思っていたけど、全然そうなってて、僕らも（おじさんに）片足つっこんでる(笑)」と顔を見合わせる。さらに北村は「あと、人間ドッグに行きたいなと思っていて」と続け、自らおじさん化を実感（？）
続く中川は「換気扇のフィルターの掃除をしたいですね」と。その理由は「一度も掃除をしていなくて。この前ちょっと見たら小さな虫が何匹か死んでいて。あれをどうにかしたい」と決心。北村は「今、皆さんは大志の家が汚いってイメージになってるよ！」と笑い、会場を沸かす。中川は「家はきれいですよ！」と慌てていた。
松岡は「レモンの皮で砂糖菓子を作りたい」と楽しそうに話すも、「100個とか作るんですが、それだけ皮をむいていると指先が酸で溶けちゃうんだよね」と告げみんなを驚かす。登壇者からも心配されるも、北村が「ゴム手袋すれば良いんじゃない？」と提案され「確かに！！」と納得する松岡。和やかな空気が会場を包んでいた。
一方の古川が「ベースを買うか迷っているんです。買って飽きたら可哀想だなと思うとなかなか一歩踏み出せない」と打ち明けると、北村が「僕も（DISH//で）バンド活動をしているけど、ベースも弾くよ。まず手に取ってみるのが良いよ」と勧める。そして「琴音ちゃんはパンクな性格もあるし、反骨精神も持っているからいいと思う」と続けると、古川も「じゃ、明日買っちゃおうかな」とノリノリだった。
【ストーリー】
学生時代に友だちだった〈僕〉とユウスケのもとに、友人の森が自殺したという報せが届く。就職はしたものの上司からすべてを否定され、「この社会で夢など見てはいけない」とSNSに想いをアップすることで何とか自分を保っていた〈僕〉と、毎日が楽しければそれでいいと刹那的に生きてきたユウスケ。森の死をきっかけに“生きること・愛すること”を見つめ直す二人に、〈僕〉の書き込みに共鳴し特別な自分になりたいと願う〈私〉と、ユウスケとの結婚がからっぽな心を満たしてくれると信じる菜穂の時間が交錯していく。青春の出口に立った4人が見つけた、きらめく明日への入口とは──？
【作品情報】
タイトル：『スクロール』
出演：北村匠海 中川大志 松岡茉優 古川琴⾳
水橋研二 莉子 三河悠冴 ／ MEGUMI 金子ノブアキ ／ 忍成修吾 ／ 相田翔子
監督・脚本・編集：清水康彦
脚本：金沢知樹 木乃江祐希
原作：橋爪駿輝「スクロール」(講談社文庫【2022年12月刊行予定】)
音楽：香田悠真 撮影：川上智之 照明：穂苅慶人
録音・音響効果：桐山裕行 美術：松本千広
制作プロダクション：イースト・ファクトリー
配給：ショウゲート
©橋爪駿輝／講談社 ©映画「スクロール」製作委員会
公式HP：scroll-movie.com
公式Instagram／Twitter：@scroll_movie
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