映画『怪物』の初日舞台挨拶が、6月2日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太と、共演の角田晃広、中村獅童の豪華キャスト陣と、坂元裕二（脚本）、是枝裕和（監督）が舞台挨拶に登壇した。
監督・是校裕和、脚本・坂元裕二、音薬・坂本龍一による本作は、大きな湖のある郊外の町で起きた子供たちのケンカから始まる物語。いったい「怪物」とは何か。登場人物それぞれの視線を通した「怪物」探しの果てに、私たちは何を見るのか。その結末に心揺さぶられる、ヒューマンドラマ。
出演は、安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子らをはじめとする実力派俳優と、二人の少年を瑞々しくかつ情感豊かに演じる黒川想矢と柊木陽太のほか、豪華キャストが一堂に集結した。
先日閉幕した第76回カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門の公式上映後には9分半ものスタンディングオベーションで称えられ、さらに坂元裕二が脚本賞を受賞、独立部門「クィア・パルム賞」と合わせて２冠を獲得し、ますます注目が高まっている。
カンヌ国際映画祭のコンペティション部門への出品は今回が7回目、映画祭への出品自体は9回目となった是枝監督は、今回のカンヌ国際映画祭について「最高の滞在でした。オープニグでの上映だったこともあり、丸々15日間映画祭に行きました」と話し、「上映後は口コミが広がって街中で声をかけられることが増えて。呼び止めらて質問されるんです。作品が届いて広がっているというなと強く感じました」と振り返った。
映画祭では、世界中の多くの映画人と対面したという監督。今回は日本からの参加も多かったそうで、「（実際に会えて）感動したのは武さん」と北野武監督の名前を挙げ、「『首』の上映を観させてもらった後にご挨拶をして、2ショット写真を撮りました。そこにいる自分がまるで学生に戻ったかのような立ち方をしていた」と照れ笑いしながらも嬉しそう。
脚本賞を初受賞した坂元は、「30年前にカンヌ映画祭に遊びに行ったことがありまして」と、プライベートで同映画祭を訪れたことを告げ、「その時は遠巻きにレッドカーペットを見て素敵だなと思っていたんですが、今回是枝監督に連れて行ってもらって実際に（レッドカーペットを）歩くことができました。30年前の忘れていた夢を叶えることができて感無量でした。自分が想像以上の歓声で迎えていただいて、恐縮しながらも胸がいっぱいになりました」と感慨深げ。
『万引き家族』でも同映画祭を訪れている安藤だが、その時は上映時のみの参加で、とんぼ返り状態だったというが、「今回は映画祭全体を感じることができました。授賞式に参加できて、その素晴らしい瞬間あの場所にいさせていただくのは、物凄いことだと実感しました。素晴らしい経験で大興奮でした」と映画祭を楽しんだ様子。
永山はレッドカーペットを歩いて「世界中の方から『コレエダ！』『サクラ！』という声掛けがあって。そんな中で“コレーエイタ！”と言われた気がして振り向いたけれど、全然こっちを見てなくてとても恥ずかしい思いをしました」とエピソードを披露し笑を誘う。そして、「最後に壇上に上がると、是枝監督から『振り返ったら手を振ってね』と言われて」とアドバイスされたことを述べ、「隣にいた坂元さんと両手で手を振ったんですけど、そこだけ二人が写真で抜かれていて、捕らわれた宇宙人みたいでした」と苦笑い。坂元も「歓声があまりにもすごくて一人で、一つの手で、返しきれていない気がしていて。両手を上げてしまったら宇宙人になっていました」と話し、さらに会場を沸かせた。
また、カンヌに滞在中にお腹を壊してしまったという坂元は「3日の滞在で2日寝込んでいたという･･･。もっと美味しいものを食べたかったのに。スタッフの方がクッキーとウェハースを差し入れしてくれて。最高のウェハースを食べることができました」と残念なエピソードも吐露。
黒川と柊木も初カンヌ滞在を満喫したようで、黒川は「映画上映の翌日に街を散歩していたら、“Congratulation!”とか“I love your film!”と色々な人から声をかけられて凄く嬉しかったです」とニッコリ。
柊木は「レッドカーペットを歩いているとき、記者の方たちから“This is HINATA!”って呼んでくださって嬉しかったです。でも海外の方は“ヒ”の発音が難しいらしく、“イナタ”“イイラギ”になってしまうようなので、申し訳なくて･･･。“サニー”に名前を変えようと思いました(笑)」と言って、キュートな笑顔を見せていた。
一方、同じく北野武監督作品『首』の上映でカンヌ入りしていた中村だが、「現地で偶然是枝監督とお会いできて嬉しかったです。是枝監督が外国の方々に囲まれてサインをしていて、凄いなと思った。そして『首』のアフターパーティーでは北野監督と是枝監督の2ショットを遠目で見て凄い2ショットだなと感動しました」と感動の面持ち。
カンヌには参加できなかった角田は、「ニュースでは見ていましたよ」とちょっぴり寂しそうな顔を見せながらも、本作の快挙については「『でしょうね！』と思いました。完成した映画を観たときに『ああ、カンヌで評価されるでしょうよ』と思っていたので案の定でした」と作品の出来栄えに胸を張った。
是枝監督から角田について「お笑いをやられている方の中で、本当にお芝居が上手い方の1人。間合いの取り方や画面の中でのポジション取りが的確。タイミングよくフレームに入ってくるのは天性のもの。素晴らしいです」と絶賛され、恐縮しきりの角田だった。
舞台挨拶の終盤には、脚本賞で贈呈された実物のトロフィーがステージに登場。輝くトロフィーを坂元が黒川に向けると、「……」と絶句する黒川。柊木は「す、凄く綺麗です！」と憧れの視線を送っていた。
【STORY】
大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。それは、よくある子供同士のケンカに見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した――。
■キャスト：安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 / 高畑充希 角田晃広 中村獅童 / 田中裕子
■監督・編集：是枝裕和『万引き家族』
■脚本：坂元裕二『花束みたいな恋をした』
■音楽：坂本龍一『レヴェナント:蘇えりし者』
■企画・プロデュース：川村元気 山田兼司
■製作:東宝、フジテレビジョン、ギャガ、AOI Pro.、分福
■配給：東宝 ギャガ
©２０２３「怪物」製作委員会
■公式サイト：gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
■公式twitter：@KaibutsuMovie
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