バットボーイズの佐田正樹の原作「デメキン」が実写映画化され、いよいよ12月2日より公開する。2009年3月22日に小説が発売、2010年3月19日より始まったヤングチャンピオン連載中のシリーズ累計発行部数180万部を突破した大人気コミックスの「デメキン」。
本作は、幼少期から“デメキン”と呼ばれいじめられた佐田正樹が、喧嘩無敗と数々の伝説を作り出し、福岡最大勢力の暴走族の総長へと登り詰めていく様を描く。
『アルカナ』『猫侍』の山口義高監督がメガホンを取り、主人公・佐田正樹役は、NHK土曜時代ドラマ「アシガール」や映画『先生！、、、好きになってもいいですか？』ほか、数々の作品に出演し、その魅力ある演技とルックスで、いま熱い視線を集めている健太郎。共演は佐田の幼なじみ・合屋厚成役を演じる山田裕貴をはじめ、ほぼ男性ばかり。男臭い役に挑戦し、「楽しかった！」と笑う彼に、話を聞いた。
― 爽やかなイケメンというイメージの健太郎さんですが、ファンの皆さんは映画を観て驚かれるのではないでしょうか？
普段から爽やかなイケメンイメージでもないと思いますが、（この映画では）爽やかさはないですね(笑)。
― 本作の出演オファーを受けた時のお気持ちはいかがでしたか？
元々、「デメキン」を漫画で読んでいたので、その「デメキン」の映画実写化と自分が主演として出演させていただくということを同時に知ったので、凄く嬉しかったですし光栄に思いました。初めての主演で、それも自分がよく知っている作品だったので、もうめちゃくちゃ嬉しかったです！「デメキン」は佐田さんの半生を描いている作品なので、他にある“原作の実写化”というものとは違う感覚でした。
― 演じる役のご本人が生きているわけですから、やりにくいと思うことはなかったですか？
やりにくいということはなかったです。佐田さんの半生を自分たちが代わりに生きて、その生きざまを皆さんにお伝えするというということに責任感は感じていました。
― 歩き方からしていつもの健太郎さんとは違いますね。
いかに自分を大きく見せるか考えて、手の振りを大きくしてみたり。冒頭に出てくる登校のシーンでは、「一瞬でもなめられたらダメだ」という感じで、戦闘モードむき出しで演っていました。
― そして、博多弁。役作りは苦労されました？
博多弁は、方言指導の先生から音源データをもらったり、常に現場で直してもらいました。さらに、リハーサルの時に、佐田さんからみんなに不良博多弁の伝授もありました。
役作りに関しては、それぞれのキャラクターとの関係性が大事でした。（出てくるキャラクターは）本当にバカでアホな奴らなのですが、くだらないことで皆で笑ったり、カメラが回っていないところでも自然にそういう雰囲気が出来上がっていました。それが役作りになっていたように思います。
役を作って入るというより、現場に行ってみんなと話しているうちに、正樹や厚成になっていくんです。正樹が成長していくと同時に自分が正樹に近づいていって、正樹と一緒に自分も成長していけたような気がします。
― 撮影現場は男性ばかりだったんですよね？
そうなんです。スタッフさんもほぼ男性で。キャストもアキ役の今田美桜さん、真木くんの彼女以外に女性はいないので。男だけの世界で作った映画なんです。めちゃくちゃ暑苦しい (笑)。アキ（今田）が現場に来た際は、みんなテンションが若干高いし、ちょっとそわそわしていました(笑)。
― 男子校のノリですね。
まさに男子校です(笑)。僕は高校が共学だったので“男子校”に憧れもあって。疑似体験ですが、その感覚を味わうことができて凄く楽しかったです。それを楽しむということが『デメキン』にとって一番の作品作りになったと思うし、僕が誰よりも楽しませてもらったと思います。
― 楽しいとはいえ、ケンカなどの激しいアクションシーンもあります。ケガは大丈夫でしたか？
ちょいちょい小さなケガはしていましたが、キツいなと感じたことは１度もなかったです。佐田さん自身も、当時のケンカの話をとても楽しそうに話してくださいます。ムカつくことでケンカになったこともあったかもしれませんが、それ以上に部活動的なもので、「自分たちは“ケンカ部”に入ってたんだ。ケンカも楽しいし、終わったらみんなでラーメンを食べに行くんだ」と仰っていました。
― 佐田さんを演じるにあたって、ご本人からアドバイスはありましたか？
佐田さんは撮影現場によく来てくださいました。映画に出てくるシーンは実際にあったことなので、例えば「大八誠に初めて会ったときの気持ち」などを佐田さんに直接聞くことができ、その感情を演じることができたので凄くありがたかったし、心強かったです。
― 仲間との絆が描かれている本作ですが、健太郎さんご自身にとって“仲間”とはどんな存在ですか？
自然に周りにいる奴ら･･･という感じです。自分にも仲のいい学生時代からの親友がいるのですが、自分がちょっと落ちているときに、急に連絡が来て家を訪ねてくるとか。たまたまかもしれませんが、「何も話さなくてもわかる」ような感覚です。自分がキツいときに自然に隣にいてくれるので、大事な親友です。
― 映画の中で、正樹の親友は厚成です。厚成役の山田裕貴さんとの共演はいかがでしたか？
今作で初めてご一緒させていただきました。実際には7歳離れているのですが、最初からすごくフランクに接してくれて、ずっと同じ目線でいてくれるし、山田さんが現場のムードメーカー的存在でした。山田さん発信でみんながどんどん繋がっていき、ギュッと近づくことができました。本当に厚成らしく居てくれました。
― 山田さんと二人きりのシーンも多いと思いますが、演技について話をすることはありましたか？
この作品は、全シーンを通してみんなで話あうということがありませんでした。自然とポロっと出た言葉や動きが、『デメキン』らしさなんです。みんなでふざけあっているシーンは特に。1日の撮影が終わっても、役のままの感じでした。僕も髪の色（赤色）を落とすまで、ずっと正樹でした。撮影でカットがかかっても「カットって？」という感じで、今までに感じたことのない経験でした。
― 自然体で撮影されたのですね。では、アドリブも多かったのですか？
バカ騒ぎしているシーンは、けっこうアドリブです。決まったセリフが終わってもカットかからないので、（高橋里恩演じる）マーカツや（田中偉登演じる）ヨージをイジったりしてワイワイしていました。（お笑い芸人の）クッキーさんが登場するシーンは全部アドリブです。台本はないので(笑)。もう面白すぎて、自分は何にも対処できない･･･、カメラが回っているのに我慢できなくて普通に笑ってしまって(笑)。本当に笑いをこらえるのに必死でした。
― 今回の『デメキン』という作品は、健太郎さんにとってどういう作品になりましたか？
初めての主演ということもあり、思い入れも強いし、思い出もたくさんあるし、これから役者を続けていく上でも絶対に忘れない大きな存在になりました。いままでぬるい自分がいて、常にマネージャーさんからは厳しく言われてきたのですが、撮影が終わって改めて、これが役者としての最低の熱量、最低の準備量だといわれ、そのとおりだと思いました。なので、この撮影以降は以前より作品について考えることが増えたと思います。
― 熱い仲間たちとの物語ですが、健太郎さんが一番熱くなったシーンはどこですか？
いっぱりありますが･･･、やっぱりラストのシーンかな。最後に厚成と向かいあう場面には色々なものがいっぱい詰まっているんです。撮影自体もそのシーンでオールアップだったので、胸が熱くなりました。
― ラーメンもいっぱい食べていましたね～。
あの時、本当にバカだったのですが････。実はやってはいけないことをやっちゃったんです(笑)。
あのラーメン、凄く量があるんです。朝から撮影をしていて、昼休憩が入ってから再開。ラーメンを1、2杯食べたあとでもまだお腹がすいていてケータリングで温かいカレーの大盛りや唐揚げをお腹いっぱい食べちゃって。「あ～、お腹いっぱいで幸せだ」と思いながら、次もラーメン食べるシーンで･･･。
― え？ 次にラーメンを食べるシーンだと知らなかったのですか？
忘れていたんです。だから、カレーに惹かれちゃってついつい(笑)。一応（撮影で）ラーメンは食べたんですが、気持ち悪くなっちゃって。「なんでカレー食べたんだ･･･」と（自己嫌悪？）。けっこうキツかった。『デメキン』の中で一番辛かったシーンといえば、そのシーンですね（笑)。
― 総長に任命され、総長の特攻服を羽織った時はどうでしたか？
あれは重いですね。初代総長・大谷くんや先輩方の想いがたくさん詰まった特攻服なので、羽織った時に嬉しさと同時に、振り向くとこれから自分が引っ張っていかなければいけない仲間たちの顔が並んでいる。その奥に自分たちの“幻影”チームの厚成やヨージたちが一番喜んでくれている、その景色を見たときはとても感慨深いものがありました。
― それでは、健太郎さんのこれからの夢や目標を教えてください。
今回、このような男臭い作品に出演させていただいて光栄でした。役者としてこれから、もっと違う役がらも演っていきたいですし、ごく普通の特徴のない人を上手く演じられるようにもなりたいです。
― 最後に、これから映画『デメキン』をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
男性の方にも女性の方にも、若い方から年配の方まで、とにかく観ていただきたいです！ 何も考えずに観ていただければ、僕たちが言いたいことは全部伝わるんじゃないかと思います。どうしても“ケンカ”というものがフォーカスされてしまいがちですが、それよりも人間愛や友情、絆がたくさん詰まった作品になっています。ぜひ、劇場でご覧下さい。よろしくお願いします。
【健太郎（けんたろう）】プロフィール
1997年6月30日生まれ。東京都出身。
モデルとしてデビューし、雑誌・広告を中心に活動後、2014年、ドラマ「昼顔～平日午後3時の恋人たち～」（CX/14）で俳優業を開始。以後、映画『俺物語!!』（15）、『ミュージアム』（16）やドラマ「学校のカイダン」（NTV/15）、「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」（TBS/15）、「仰げば尊し」（TBS/16）などで魅せた演技で鮮烈な印象を残し、注目を集める。現在、NHK土曜時代ドラマ「アシガール」、映画『先生！、、、好きになってもいいですか？』などに出演中。2018年公開作も多数控えている。
映画『デメキン』
＜ストーリー＞
幼少期からデメキンと呼ばれ、いじめられていた佐田正樹（健太郎）は、ある日、“強くならなきゃ”と覚悟を決めて拳を握った。そしてかつてのいじめっ子集団を返り討ちにするほど腕っぷしが強くなり、喧嘩では敵なしの存在となっていた。赤髪リーゼントがトレードマークの正樹。小学校からの親友・厚成（山田裕貴）と喧嘩やバイクに明け暮れる日々を過ごす。中学卒業後、正樹は高校へ進学し、厚成はラーメン屋で働き始める。環境は変われど人は変わらず、年上の不良に目をつけられてはひたすら喧嘩ざんまいの日々を過ごしていた。ある日、バイク事故で死んだ憧れの暴走族の総長・真木（栁俊太郎）のことを思い返していた厚成は正樹に福岡一のチームを作ろうと持ちかける。二人はチーム「亜鳳」を結成するが、次々と血気盛んな敵が待ち受けていて…。
出演：健太郎 山田裕貴
栁俊太郎 今田美桜 髙橋里恩 田中偉登 福山翔大 三村和敬 藤木修
岩永ジョーイ 神永圭佑 成田瑛基 笠松将 黒石高大 くっきー(野性爆弾) ケン(水玉れっぷう隊) 坂田聡
原作：佐田正樹『デメキン』
監督：山口義高
脚本：足立紳
音楽：海田庄吾
主題歌：LEGO BIG MORL『一秒のあいだ』（OORONG MANAGEMENT / SNOW WHITE MUSIC）
製作：東映ビデオ、AMGエンタテインメント 製作プロダクション：ステアウェイ
配給：AMGエンタテインメント 2017/日本/115分
（C）よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ （C）2017映画『デメキン』製作委員会
公式サイト：http://demekin-movie.com/
2017年12月2日（土）よりシネマート新宿ほか全国ロードショー
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