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河瀨組の“役積み”に永作博美は「疑心暗鬼になりそう」、井浦新は「特別な経験」 映画『朝が来る』完成報告会見

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映画『朝が来る』の完成報告会見が、10月6日、ザ・プリンス パークタワー東京にて行われ、主演の永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、佐藤令旺と、河瀨直美監督が登壇した。

直木賞・本屋大賞受賞作家・辻村深月の感動小説を『あん』『光』の河瀨直美監督が映画化。カンヌ国際映画祭公式作品【CANNES 2020】に正式に選出された本作は、実の子を持てなかった夫婦と、実の子を育てることができなかった14歳の少女を繋ぐ「特別養子縁組」によって、血のつながり、魂のつながりを描き、家族について、そしてさらなる希望の光を届けるヒューマンドラマ。実の子を持つことが叶わなかった夫婦、栗原佐都子役に永作博美、栗原清和役に井浦新、望まぬ妊娠をし、実の子を育てることができなかった少女・片倉ひかり役を蒔田彩珠が演じる。

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当初、6月に公開を予定していた本作だが、新型コロナウィルス感染の影響で公開が延期。そして、10月23日に公開することが決定し、登壇者たちも晴れ晴れとした面持ちで会見場に登場した。この現状を受け止めて河瀨監督は「暗いトンネルに入りこみましたが、その先に見える光に向かって、皆さんの前に現れ、今日の日を迎えることができました」と感無量の様子。

特別養子縁組という制度をテーマにしているが、「私はこの制度を知りませんでした」と語る監督は「私は養女です。普通の養子との違いは戸籍の中で実子として迎えられるということです。そこが大きく違うところ」と説明。「真実告知をしていることは素晴らしいこと。それで救われる命があるのです」と続けた。

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夫婦役を演じた永作と井浦は、そのたたずまいからも夫婦の空気感を醸し出す。永作は「役ではなく、夫婦として普段の話を井浦さんとして小さなことも逃さないようにしました」と話した。井浦も「河瀨監督のもと、クランクイン前には『養子縁組』『不妊治療』『無精子症』などしっかり勉強させてもらいました」と明かす。

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井浦は「現場では常に追い込まれたいました」と苦笑い。「でも、心がズタボロになるようなシーンが終わると、監督がちょこんと横に座っていてくださっていて。監督は大変なシーンを投げっぱなしにするのではなく、ちゃんとそのあとのケアもしてくださるんです」と、絶対的な信頼を寄せていた。

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河瀨組の“役積み”について言及するキャストたちにはそれぞれの思いがあったようで、14歳で出産を経験する難しい役どころを演じた蒔田は「監督から『朝斗を想う気持ちは忘れないで』と言われました。実際にお父さん、お母さん、家族の人たちと3週間近く一緒に住んでそのうえで出来上がった関係性が映像に映っていると思います」とコメント。

また、河瀨監督による“役積み”には抜かりがない。永作は「だんだん、スタッフが信じられなくなって・・・」とこぼし、「夫婦で温泉に泊まるシーンがあるんですが、実際には泊まらないことになっていたんです。でも、旅館に着くなり『さあ、お風呂に入ってください』『ご飯を食べてください』って言われて。撮影がどんどん遅くなって、これは罠なんじゃないか、このまま泊まらせるつもりじゃないかと疑心暗鬼になりましたよ。結果的に夜遅く解放されましたけど(笑)。そこまでやるのかと」と告白。井浦も「食事の味なんて覚えてないです。でも、全てが特別な経験になりました」と。

すると、監督は「だって、旅館に言ったらお風呂入るでしょ?普通。ご飯も食べるし、浴衣を着るでしょ?」とあっけらかん。「普通の人に“俳優”が入ることが不自然にならないようにしないといけない。その人の行動を(全て)してみると、想像を超えることがあるんです」と映画作りのこだわりを述べた。

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本作のテーマにちなみ、「皆さんにとって、家族とは?」と問われ、永作は「なかま」、井浦は「生きる」、浅田は「神様からのおくりもの」、蒔田は「もう一人の自分」とし、「監督は「河瀨組」とフリップに書いて発表した。

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最後にサプライズで、子役の佐藤令旺くんが登場し、登壇者たちに花のブーケをプレゼント。さらに、本作が世界25カ国で公開されることを発表した。

『朝が来る』メインスチール

【STORY】
一度は子供を持つことを諦めた栗原夫婦は、特別養子縁組という制度を知り、男の子を迎えいれる。それから6年、息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。ところが突然、産みの母親“片倉ひかり”を名乗る女性から、「子供を返してほしいんです。それがダメならお金をください」という電話がかかってくる。当時14歳だったひかりとは一度だけ会ったが、生まれた子供への手紙を託す、心優しい少女だった。渦巻く疑問の中、訪ねて来た若い女には、あの日のひかりの面影は微塵もなかった。いったい彼女は何者なのか、何が目的なのか。

【監督・脚本・撮影】河瀨直美
【原作】辻村深月 『朝が来る』(文春文庫)
【共同脚本】髙橋泉
【出演】永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、
中島ひろ子、平原テツ、駒井蓮、田中偉登、佐藤令旺、利重剛
【製作】キノフィルムズ・組画
【配給】キノフィルムズ
【コピーライト表記】©2020『朝が来る』Film Partners
【公式HP】http://asagakuru-movie.jp/

10月23日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開