映画『ヒキタさん ご懐妊ですよ！』の公開記念舞台挨拶が、10月5日、東京・新宿ピカデリーで行われ、主演の松重豊をはじめ、共演の北川景子、濱田岳、山中崇、伊東四朗と、細川徹監督が登壇した。
作家・ヒキタクニオが自らの体験を基に書き上げたエッセイを原作に、実写映画化した本作は、“男の妊活”を真正面に向かいつつ、ユーモアあふれる語り口で描き出す。49歳の作家・ヒキタクニオ役を松重、一回り以上歳が離れた妻・サチを北川が演じる。松重は今作が映画初主演となる。
これまで多くの作品に出演しているベテラン俳優の松重。「これまで何十本と作品に出ていますが、台本はクランクアップのあとに全て破り捨てているんです。でも、この作品については昨日まで台本が鞄の中に入っていました。今日破り捨てるつもりだったんですが･･･、僕の棺桶に入れてもらおうかと」と言って、本作への愛着感を滲ませた。
公開前から一部で松重と北川が夫婦に見えるかという不安視する声もあったが、北川は「何の心配もなくクランクインしました」とあっけらかん。「心が通いあっている夫婦の絆が表れていると思います。それは、これまで何度もご一緒しているので、何でも話せる関係性があったからかもしれません」と、今回の共演前から気心が知れている安心感を吐露。実際には二回りも歳が離れているそうだが、「年齢は関係ないと思える作品でした」と胸を張る。
また、本作で“授精大臣”と言われているヒキタの良き相談相手・杉浦役を演じた濱田は「この映画には悪い人は一人も出てこない。なので、唯一のヒールだと思い、ヒキタさんを追い込もうとして楽しかったです」と話し、「これまでは上司と部下のような役が多かったんですが、今回は友達のような役。特にサウナのシーンは楽しかった！」と満面の笑みを浮かべる。すると、松重が「（劇中で）精子の数でも負けているしね。小意地の悪いヤツで鼻について･･･楽しかったです。でも同年代ならイヤなヤツ。皆さん、気をつけてくださいね」と茶化す場面も。
山口はオールアップの時に涙を流すほど、この夫婦に感情移入をしてしまったという。「この二人が愛おしくて。ステキな』夫婦だと思って感動しました」と明かし、伊東は「自分には娘がいないので、とても嬉しかった」と北川との共演を喜んだ。
松重演じるヒキタは男性不妊という難しい役どころだが、松重は「実際に産婦人科医院に行って妊婦さんと一緒に並んで座ってみたり、メンズルームに入ってみて、どんなに恥ずかしいものかを自ら体験してヒキタになってみようと思いました」と役作りに言及。
一方、北川は「夫婦や親子のハートフルで温かい作品。教材的な要素もあるけれど、笑いもあるエンタメ。松重さんと夫婦役を演じて驚かせようといういたずら心もあって、ポジティブに参加しました」と本作への出演の決め手を話した。
そんな北川が現場での華であったことは間違いないのだが、「スタッフも男性陣が多かったのですが、サチが美しくて、はかなくて愛おしいんです。皆、北川さんに気に入られようとしていました(笑)」と言って会場を沸かす。さらに「北川さんはクランクアップが1日早かったんですが、最終日には急に怒号が飛び始めたんです。みんな、“サチロス”で。こんなにも男たちが殺伐とするとは･･･」と告白すると、北川は「（最終日にも）行けばよかったですね」と苦笑い。
また、これまで生きてきて「忘れられないひと言は？」と問われると、松重は「この作品で北川さんとの年齢差を気にしていたんですが、『そんなに（歳が）離れていましたっけ？』と言われて救われました」と答える。北川は「19歳のときに、森田芳光監督から『女優をやめないでくださいね』と言われ、今でもつらい時があると思い出します」と伝えた。濱田も、「演技に煮詰まったとき、西田敏行さんから『私はあなたのファンなので、のびのび演ってください』と優しく言われました」と、先輩俳優からの言葉が忘れられないと言った。
最後に松重は「これまで興行成績とか気にしたことはなかったんですが、学生の頃から三谷幸喜と一緒に演劇をやっていまして、今こそ彼を腹立たしく思ったことがない。『記憶にございません』とか･･･。なんとか、三谷幸喜をぶっ潰してやりたいと！」と同時期に公開される三谷幸喜監督作品を引き合いに出し、会場の笑いを誘う。そして、「この作品は色んな観かたがあって、楽しみかたがあります。ホロリとするかもしれません。明るく前向きになる映画です」と自信を持ってアピールし、舞台挨拶を締めくくった。
＜STORY＞
49歳の作家・ヒキタクニオ（松重豊）は、一回り以上年が離れた妻・サチ（北川景子）と仲良く楽しい毎日を過ごしている。子どもは作らずに二人だけでやっていこうと思っていたヒキタとサチ。そんなある日、サチから飛び出した「ヒキタさんの子どもに会いたい」という一言がきっかけで、ヒキタの生活は一変する…。医師からの「精子の8割は動いていない」という衝撃の宣告を受け、“男の妊活”がスタートするが…。
◆出演：松重 豊 北川景子 山中崇 濱田岳／伊東四朗
◆脚本・監督：細川 徹
◆原作：ヒキタクニオ『ヒキタさん！ ご懐妊ですよ』（光文社文庫刊）
◆配給：東急レクリエーション
◆コピーライト：©2019「ヒキタさん！ ご懐妊ですよ」製作委員会
◆公式サイト：http://hikitasan-gokainin.com
◆公式facebook：https://www.facebook.com/hikitasan.gokainin
◆公式Twitter：https://twitter.com/hikitasan2019（＠hikitasan2019）
１０月４日（金） 全国ロードショー
