映画『グリーンブック』のピーター・ファレリー監督が緊急来日し、3月3日、ザ・リッツカールトン東京にて会見を行い、本作の大ファンだという俳優の伊藤健太郎もゲスト出演した。
本作は、1962年の差別が色濃い時代に、黒人用旅行ガイドブック＜グリーンブック＞を頼りにツアーへ旅立った、無教養だけど人間的魅力にあふれるイタリア系白人と、インテリな黒人天才ピアニストの異なる世界に住む男2人の爽快なロードムービー。
初来日となったファレリー監督監督は、「日本にやっと来られて光栄です。ありがとう！」と挨拶。第91回アカデミー賞で作品賞を含む3部門を受賞したことにお祝いの拍手が送られると、再び日本語で「ありがとう！」と笑顔で応えた。
アカデミー賞を受賞して1週間が経つが、「やっと少し実感が湧いてきたかな。僕の作品はアカデミー賞を受けるようなものではないので、受賞するとは思わなかったよ」と話すも、受賞の要因について「希望を与えることではないかな。真逆な環境にいても話をしてお互いを知ることで共通点を見出していくことができるんだ」とコメントした。
本作を制作するにあたっては、偶然であり必然的な出会いだったようで、「僕はカルマを信じている。この作品は3人で脚本を執筆したんだけど、その中の1人ブライアン・カリー氏が7年間認知症の母親の介護し看取って、その徳というのがこの美しい話を導き、（映画製作に）突き動かしたんだと思う。僕はそのおすそわけをもらった気がするんだ」と吐露。
1960年代の差別が激しい時代において、本作ではそのあたりをソフトに描いているが、「その時代にアメリカ南部では激しい差別があったが、彼らの旅行中にはそういうことにあっていないので、誇張することはしなかった。あくまで二人の経験をそのまま描きたかったんだ」と説明した。
ここで、伊藤健太郎が緊張の面持ちで登場。伊藤は本作がアカデミー賞を受賞する前から「作品賞をとる。助演男優賞はマハーシャラ・アリが受賞する！」と予想しており、見事に的中。憧れの監督と初対面を果たし、「めちゃくちゃ嬉しいです」と満面の笑みを浮かべる。そこで、直接監督に質問する機会が与えられると、「車を選ぶときの候補はあったのですか？」と問いかける。監督は「二人が実際に乗ったキャデラックでモデルも型も同じものなんだ」と答え、「でも、本物は黒色だったんだけど、全体の映像に色味がないので、車だけはグリーンにしたんだよ」と裏話も披露。また、コメディーを撮ることに心がけていることは「ジョークのネタを考えるのではなく、観客が好きだと思えるキャラクターにすることさ」と持論を展開。
また、先日第42回日本アカデミー賞新人賞を受賞した伊藤に、ファレリー監督が「あっという間にスーパースターになった気持ちはどう？」と質問する一幕も。「自分でもびっくりしていて･･･。追いついてないです」と恐縮しきりの伊藤。「僕もいつか俳優の目標としてハリウッドに行ってみたい気持ちもあります。機会があれば」と目を輝かせると、監督から「伊藤さんはどこにいても活躍できると思う。アカデミー賞を撮れる俳優になれるには、とにかく現地に行ってしまうことだよ。いつか一緒に仕事ができたら」とエールを送られる。その言葉に伊藤は、「これからも頑張ります。いつかハリウッドに行ったら『あの時のお言葉、忘れていないですよね？』といいますね」と約束を交わしていた。
『グリーンブック』
＜あらすじ＞
1962年、差別が色濃く残る南部でコンサートツアーを計画する黒人の天才ピアニスト、ドクター・シャーリー（マハーシャラ・アリ）は、粗野で無教養のイタリア系、トニー・リップ（ヴィゴ・モーテンセン）を用心棒兼運転手として雇うことに。黒人用旅行ガイド＜グリーンブック＞を頼りに正反対のふたりは旅を始めるのだが・・・。
監督：ピーター・ファレリー『メリーに首ったけ』『愛しのローズマリー』
出演：ヴィゴ・モーテンセン『イースタン・プロミス』『はじまりへの旅』（アカデミー賞主演男優賞ノミネート）
マハーシャラ・アリ『ムーンライト』（アカデミー賞助演男優賞受賞）
リンダ・カーデリーニ『アベンジャーズ／エイジ・オブ・ウルトロン』
提供：ギャガ、カルチュア・パブリッシャーズ
配給：GAGA
原題：GREEN BOOK/2018年/アメリカ/130分
字幕翻訳：戸田奈津子
公式サイト：http://gaga.ne.jp/greenbook
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