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映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』辰巳ヨシヒロ氏・エリック・クー監督からメッセージが到着! 一人六役の別所哲也熱い想いを語る!!初日舞台挨拶!

第64回カンヌ国際映画祭のある視点部門に正式出品され、第84回米アカデミー賞、外国語映画賞のシンガポール代表に選出されるなど世界的な評価を受けている映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』が、11月15日(土)より公開した。
初日の初回上映後、本作で一人六役以上の声をつとめた別所哲也、そしてアソシエイト・プロデューサーを務めた山本真郷氏をゲストに迎えて舞台挨拶を実施。辰巳ヨシヒロ氏、エリック・クー監督から初日に際しての手紙も到着し、会場を沸かせた。
キメ
<イベントレポ> 
MC:本日は『TATSUMI マンガに革命を起こした男』の公開初日舞台挨拶の回にお越しいただきまして誠にありがとうございます。本作は、2009年手塚治虫文化賞大賞を受賞した「劇画漂流」を基に、大人が楽しめるエンターテイメントの可能性を追求し続け、葛藤と苦悩を繰り返した辰巳ヨシヒロの半生を、シンガポールの映像クリエイター エリック・クーが監督し、辰巳先生の代表的な劇画作品を映像として動かすことに成功した今までに観た事のないドキュメンタリーアニメーション作品です。
本作にてナレーションと六役以上ものキャラクターの声を演じられました別所哲也さんと共に祝いたいと思い、特別舞台挨拶をさせて頂く運びになりました。それでは早速お呼び致しましょう!別所哲也さんです!
 
別所哲也:別所哲也です。本日は朝早くから、初日の初回にご来場いただきありがとうございます。老若男女、色々な層のお客さんに足を運んでいただけてうれしいです。、カンヌ国際映画祭、米アカデミー賞の外国語映画賞シンガポール代表など各国の映画祭などで上映され、高い評価を受けて今日ようやく日本で公開となります。辰巳ヨシヒロ先生、エリック・クー監督お二人とも日本での公開を喜んでくれていることと思います。世界的に評価されている辰巳ヨシヒロさんのことを知らない方も、多いと思いますので、若い世代の方こそ語り継いでいって欲しいと思います。
MC:今回は別所さんが一人で6役以上演じられているということですがご覧になった方わかりましたか??凄いですね!またエリック・クー監督から演技指導などはありましたか?
トーク
別所:エリックからは当初もっとたくさんの役をやってくれと言われたんですがさすがにそんなにたくさんはできませんでした(笑)。収録されている5編の短編のうちの1本目「地獄/HELL」では実は主人公と相手役の二人を演じています。日本には一人で何役もこなす落語もありますし、実写で演じる場合にはいただけないだろう役柄だったのでチャレンジだと思い臨みました。エリック監督は、「こうしてくれ」と言うのではなく、「いいね!」と褒めてどんどんと録り進めていくと感じでした。収録の順番を考えてくれていて、(張った声で緊張感が必要とされる)「地獄/HELL」は初めの方に収録して、(疲れてきた感じの声が必要とされる)「いとしのモンキー/BELOVED MONKEY」を終盤に収録しました。
MC:本作に登場する5編の短編の中で最も思い入れのある作品はありますか?
別所:エリック監督と同じなんですけど、どれか一本と言われれば「いとしのモンキー/BELOVED MONKEY」ですね。行き場がなくなった主人公の切なさにドキッとします。「男一発/JUST A MAN」や「はいっています/OCCUPIED」も人間の弱いところを赤裸々に描いていて、年を重ねてくると愛おしくなってきます。女性がどうとらえるのか、気になります。日本の戦後の隠されていたようなことに光を当て、世界の人が評価してくれるのは日本的なところもあり、人間が共通してわかる弱さを描いているからだと思います。
MC:別所さんは辰巳先生にお会いしたことがあると思いますがどの様な方ですか?
別所:先生にも、奥様にお会いしています。先生は職人気質で格好良く、“男は黙って仕事”というような方でした。
MC:辰巳先生のお話が出ましたが実は本日お越しいただけませんでした辰巳ヨシヒロ先生からお手紙を預かっております。本作でアソシエイト・プロデューサーをつとめられましたFUJIFILMの山本真郷さんをお呼びしたいと思います。
山本真郷:本日は皆さまご来場いただきありがとうございます。辰巳ヨシヒロ先生、エリック・クー監督のお二人がこの舞台に上がりたかったと思いますが、私が辰巳ヨシヒロさんからお預かりしたお手紙を読ませていただきたいと思います。
※辰巳ヨシヒロさんからのメッセージ代読※
皆様
本日は日本での公開初日ということで、どうにか参加したかったのですが、身体の自由が利かず、残念ながら参加できなくなってしまいました。簡単ではありますがメッセージを読んでいただくことにします。
この度、角川シネマをはじめ、一般公開されることになったことを大変喜ばしく思います。私は劇画を通じて、これまで沢山の人々との出会いや発見がありました。想像もしなかった海外への道も開かれました。まさに、クー監督やスタッフとの出会い、カンヌ国際映画祭の赤いジュータンを歩いたことも、すべて劇画のお蔭なのです。劇画を全く知らなかった方も沢山いらっしゃると思いますが、本作品を通じて、少しだけ身近に感じていただけたのではないでしょうか。
最後に、クー監督、並びに映画の製作・配給に携わった関係者、そして本日ご来場いただきました皆様に深く感謝いたします。
 辰巳ヨシヒロ
※会場拍手
MC:ありがとうございます。体調を崩されているということでご来場いただけず本日は残念ですが、早く元気になって我々にまた辰巳ワールドを楽しませていただきたいと思います。
別所:ここに一緒に立ちたかったですね。世界で手塚治虫さんと並び称されている辰巳ヨシヒロさんの作品に携われて光栄です。
MC:実は本日辰巳ヨシヒロさんの奥様が会場にいらっしゃております。
※客席で立ちあがって会釈
ありがとうございます。山本さん、是非本日の様子と別所さんの言葉を先生にお伝えいただければと思います。ここで日本公開を迎えたことに対して、エリック・クー監督からもメッセージを頂戴しております、僭越ながら私が代読させていただきたいと思います。
※エリック・クー監督メッセージ代読※
私が辰巳先生の作品に出合ったのは、20年以上も前のことで実にたくさんの影響を受けました。ですから、この作品は「恩返し」として「愛情」を込めて制作しました。
辰巳先生は日本の漫画界にとって極めて重要な方です。映画を通じて、彼の「人生と物語」を日本のオーディエンスに、お届けできたことを大変喜ばしく思います。「宝石」のような輝きを放つ、辰巳作品に触れることで、彼の作品を再発見してもらえればなによりです。本日はありがとうございました。
 エリック・クー
※会場拍手
MC:ありがとうございます。ではそろそろお時間となってしまいますが、辰巳先生へのメッセージを皆さんにパネルに書いてお送りするのはいかがでしょうか。
※会場拍手
MC:ありがとうございます。では、別所さんと山本さんに書いていただき、後程ロビーに会場にいらしたお客様にもメッセージを書いていただければと思います。
別所:わかりました、私はシンプルに「ありがとう」と書きます。
MC:それではメッセージを書いていただき、フォトセッションに移りたいと思います。
※パネルを挟んでフォトセッション。
MC:ありがとうございました。それでは最後に別所哲也さんから一言いただいて舞台挨拶を終了とさせていただきたいと思います。お願いします。
別所:本日は早い時間から初日の初回にお越しいただきましてありがとうございます。心から感謝しています。皆さんの中で感想を言い合いながら大きくなっていただく作品だと思います。私は作品を生む側ですが、育てる側が皆さんです。本日お越しいただいてる方々が育ての親ですので、超大作ではないですが、皆さんの力で作品の良さを奥行きを持って伝えて貰えればじわじわと広がっていくと思いますので、よろしくお願いします。
メッセージ
【作品情報】
 今、我々は日本が世界に誇るこの才能を、無視してはいけない。
終戦直後の日本。マンガを描くことが大好きだった辰巳ヨシヒロ少年は、憧れの手塚治虫に会い談笑したその日から、マンガ家になることを心に決める。
 彼の情熱は、すぐに出版社に認められ、貧しい家計を支える重要な手段となっていく。マンガ家として順調なスタートを切った辰巳だったが、当時のマンガは子供向けの笑いの要素が中心の可愛らしいものが中心。辰巳はマンガのあり方に疑問を感じながら、さらなる可能性を見出していた。
そして1957年、22歳の辰巳は、大人に向けた内容と表現としてのマンガの手法を確立し「劇画」と名づける。写実的な描写と動きのあるコマ割りで映画のようなダイナミズムを表現した彼の作品は後の劇画ブームの火付け役となっただけでなく、現在の青年漫画に多大な影響を与えることとなった。
彼の生み出す作品は、コミカルに描かれていた従来の漫画とは一線を画し、時事問題や、社会情勢を反映させながら不条理ともいえる展開が見る者に衝撃を与えた。日本の漫画界においてこれほどまでの変革を担ってきた重要な人物辰巳とその作品に、なぜ光があたらなかったのか。彼の半自伝的作品ともいえる「劇画漂流」を基に、その苦悩と才能が紐解かれる。
『TATSUMI マンガに革命を起こした男』
■監督:エリック・クー
■原作:辰巳ヨシヒロ「劇画漂流」(青林工藝舎刊)
■声の出演:別所哲也(一人六役)、辰巳ヨシヒロ
■配給:スターサンズ
2011/シンガポール/96分/日本語/原題:TATSUMI
(C)ZHAO WEI FILMS
角川シネマ新宿他にて公開中!