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向井理インタビュー! 「堤監督のお遊び精神は枯れないんです!」 映画『RANMARU 神の舌を持つ男』

名匠・堤幸彦が20年来温めてきたアイデアの最高傑作『RANMARU神の舌を持つ男』が、連続ドラマに続いて、ついに12月3日に映画公開を迎える。これを記念し、“絶対音感”ならぬ、“絶対舌感”を持つ男・主演の朝永蘭丸(ともなが らんまる)を演じた向井理がインタビューに応じてくれた。
甘いマスクにスタイリッシュ、クールな雰囲気を漂わせる彼が、今作では愛すべき「変人キャラ」で登場! さらに個性豊かなキャラクターが揃った撮影現場は?堤監督とは?本作の見どころとともに、俳優・向井理の真の姿に迫った。

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― ドラマに引き続き、映画化の話を受けたときのお気持ちはいかがでしたか?
映画化という気持ちよりも、ドラマの延長の感じでした。ドラマも9話+10話というように2話連続で1つの話という回もあったし、連ドラが10話までだったので、11話+12話をやるような気持ちでした。映画だから・・・と、特に意識をして何かを変えるというようなことはなかったですね。

― ドラマの雰囲気そのままで臨むことができたのですね?
僕と、木村文乃さん、佐藤二朗さんの3人以外の出演者は毎回変わるので、そこもドラマと同じですね。

― サブタイトルが尋常じゃない長さですが、これを最初に聞いたときの感想は?
誰が考えたんでしょうね(笑)。もう、(堤監督のお遊びの)免疫ができていたので、なんとなく納得しました。ふざけてるなぁ~って。
ただ、登場人物を紹介しているというだけのサブタイトルですけどね(笑)。

― 堤監督のお遊び精神はどうですか?
もう、凄いです。枯れないんですよね。毎日出てくるので、もう途中から台本を読み込むことを止めました。読んでも現場で毎日変わると思って。足されることが多いので、もちろんセリフは覚えていきます。でも急に日本語が英語になったりだとか、よくわからない。掴みどころがないんですよね。とりあえず監督の言われた通りにやることしか僕らはできないので、「ちょっと時間ください」ということもないですし、「はい、演ってください」と言われて「はい」と言って演じる。だから、「できません」とか「え?どうしてですか?」ということがまずないです。みんな、堤さんのために、堤さんが楽しんでいるからいいや!という感じです。連ドラもそうでしたね。もちろんアドリブもない。自分でアドリブを入れる余裕もないくらい変わるんです。監督がアドリブをふってくるから、それに追いつくのに必死でした。大丈夫なのか、よくわかんないんですけどね(笑)。

― では、向井さんが特に役作りをしたということはないんですか?
全然ないです。もう言われた通りに。プロットをいただいたときに、「メガネをかけていますよね?」という確認をしたことと、「蘭丸は少年のような人」かなと考え、セリフ回しを意識したことはあります。あとは3人の掛け合いだったり、他のキャストとの兼合いなので、自分でこういうふうにしようということはなく、堤監督の言うことを忠実に再現するほうが今回のテーマとしては大きかったかもしれません。

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― 今回、本作を映画から初めて観る方もいらっしゃると思いますが、ドラマを観ていなくても心配ない?
ドラマを見ていても見ていなくても、登場人物の紹介はサラッとしていますし、みんな個性強くて説明しなくても十分画面からはみ出ているので、嫌でもどういう人かわかりますよ。そもそもキャラクターの紹介って、作り手や僕らが思っているほどあんまり大したことではないんじゃないかと、最近は思うようになりました。見ている人は登場人物の名前や性格などを全部把握しないと作品が頭に入らないということはないと思うんですよね。
もともと、映画は単体のもの。映画から観ようと、ドラマから観ようと、観ている人がどう思うのかは、こちら作り手は100%はコントロールできない。(言葉の)説明よりもそのエネルギーで伝えていくのが本来の説明だと思うんです。観た人がどう捉えるかということが一番大事なことなので、ある程度遊びがあったほうがいい。「こういう人です!」と説明しすぎるのも、違うのかなと。遊びや隙間があれば観てくれる人が埋めていってくれるので、説明はあんまりしなくてもいいんじゃなかなって思っています。
何考えているかわからない人って登場人物に1人や2人いますよね。それでも作品は成立するし、そういう人のほうが、かえって気になってしまったりするんですよね。

― 観客にていねいに説明しなくてもいいんじゃないかと思うようになった分岐点は?
特に(分岐点が)何かあるわけじゃないですが、例えば自分が何も前情報がなく観ても、やっぱりちゃんと作品の内容はわかるので。登場人物の名前を覚えていなくても、こういう人、暴力的な人とか、人間は勝手にカテゴライズしていくけれど、それで十分伝わるし、むしろ、雑なほうが観ている側は考えるんじゃないかと思って。それは僕の勝手な考えですけどね。3人が出会うシーンでは、ちゃんとその三角形が説明ができている。でもこの作品は、ドラマも映画も共通して言えるのは、変な人しか出ていないので、心配しなくても「変な人」という一括りで十分。大丈夫です(笑)。
二朗さん演じる寛治くらいかな、まともな人は(笑)。

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― 特にこの作品は、ギャグもパロディも多いのですが、観る人の「自分だけのツボ」のようなポイントがある。それを見つけるのも面白いですね。
おもしろいチョイスがいろんなところに取り込まれていますが、一回観ただけじゃ分からない気がします。もう早すぎるし、細かすぎて(笑)。僕が一番おもしろかったのは、中野英雄さんのシーン。中野さんの前掛けに「一世風靡」って書いてあったり、その酒蔵で作っているお酒が2種類あるんですが、1つが「一世風靡」、もう1つが「チョロ」というんです。ドラマ「愛という名のもとに」だ!役名かぁ・・・と思って(笑)。それに、「チョロ」も漢字だから良く見ないと分からないんです。中野さん本人も気づいていなくて、僕が中野さんに「『チョロ』って書いてありますよ」 と伝えたら「あ、ホントだ!」って。
本人が見ても気づかないくらいだから、普通に映画を観ていてもわからないだろうな~と。そんなことばっかりやっているんですよ。堤さんもそうだし、作る人たちが命かけてふざけているから、見ていておもしろいんです。他にも財前さんとかも、いっぱいあります(笑)。

― 堤監督の演出が、現場で変わることに応えるのは難易度が高いのでは?
僕はあまり無茶ぶりされなかったですけどね。僕が変なことをしすぎてしまうと、さすがにまとまりがなくなってしまうので。木村文乃さんが一番無茶ぶりされていましたね。あと、岡本信人さん、矢島健一さん、渡辺哲さんとか、市原隼人くんも。歌ったり、踊ったりは台本に一切書いてないですからね(笑)。

― 監督から無茶ぶりされている、ほかの役者さんを見て、「自分も無茶ぶりされたい」と思うことはない?
確かに、そういう気持ちはありますね。二朗さんとドラマ中に飲んでいたときに、「うずうずしませんか? やりたくなりませんか?元々そっち側の人じゃないですか」と尋ねたら、「やりたくなるけど、やっぱりそこは抑えて、この役をまっとうするということの楽しさに切り替えているんだ」とおっしゃっていました。僕自身も自分のオリジナリティを加えてキチンと演じると堤さんが笑ってくれるんです。堤監督が開発したトークバックというシステムがあって離れたブースから直接マイクで俳優に指示を出すんです。監督は俳優がつけているマイクを拾うので、直接会話ができるものなんですが、それってとても革新的なことで、「カット!」の声がかかったとき、堤監督が笑っていると、「よし、 想像を超えたな」と思えるんです。笑いながら「カット!」と言ったり、「面白いねぇ~」とボソっと言ってくれたりするのが1週間に1回あるかないかなんですが、その時は「してやったり」と思いますね(笑)。

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― 本作は、ギャグやパロディ満載ですが、ミステリームービーとしてちゃんと楽しめる作品になっていますね。
脚本を担当されている櫻井武晴さんが、もともとミステリードラマを手がけているので、その部分がしっかりしているから堤さんも演出で遊べるのだと思います。あと監督は照れ屋の部分と、日本の自然に対しての思いが強い。特に「水」については世界でも問題になりつつある。第三次世界大戦があるとしたら、「水」をめぐる戦いになるのではないかと話す経済学者もいるくらい、「水」というのは大切なものです。今は水との距離感も変わってきていて、昔は蛇口をひねってガンガン飲んでいたのに、今は当たり前のようにペットボトルやウォーターサーバーを買っている。だから、「本作に出てくる問題って近い将来、現実になるかもしれないんだよ」と、社会問題も投げかけているんだけど、それだけの題材でやるとちょっと恥ずかしいからギャグを入れてるんですよ。堤監督は照れ屋ですからね。

― 絶対舌感を持つ蘭丸ですが、向井さん自身が他の人には負けないぞ!という特技はありますか?
グラスを洗うのが凄く早いです。 昔、バーテンダーをやっていて、忙しいお店もあったので食器洗いが得意です (笑)。

― デビューされてから10年すぎて、今なお主演で活躍されていますが、向井さんが今考えていることは?
自分はまだまだ足りていない部分があるので、もっともっと伸びしろがあると思っていますし、まだやっていないことややりたいことはあります。今年はこの映画だけではなく、ドラマや舞台と、とても濃い一年でした。ありがたいことに、どの作品も「初めまして」の人ではないんです。これまではもちろん「初めまして」と挨拶する方ばかりだったのですが、それが「また会いましたね」「お久しぶりです」という形でした。10年ちょっとやってきて、撒いた種が育ってきている感じがしましたね。もちろん、新しい出会いも必要ですし、再会させていただいた方々とも、もっと切磋琢磨していかないといけないのですが、今年はおもしろい1年になったなと実感しました。NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の作家である西田征史さんも「ガチ☆ボーイ」から出会いが始まって、「ガチ☆ボーイ」を作った劇作家が、今出演している舞台「星回帰線」の演出をしている蓬莱竜太さん。再びという意味で堤さんともお会いすることができました。

― 俳優として長く続けていく秘訣は何なのでしょうか?
複合的なものだと思います。まずは「運」。運がないとチャンスがあっても掴むことができない。今振り返ってみると今までやってきた仕事は、いろんな積み重ねなんですが、すごく運が良かったなと感じることがたくさんあるんです。デビューしたての名前も顔も知らない人間を起用する理由は、なんとなく・・・かも。「なんとなく面白そう」「なんとなく原作に似ているかも」みたいに。そこで選ばれるのは、「運」が大きいと思う。
もちろん、その後再会して一緒に仕事ができるのは、自分が信頼されているんだという自負はあります。堤さんも1~2年に1度のペースで声をかけてくださっていますが、毎回意思の疎通を取る努力はしています。他の方ともそうですが、現場のやり取りや、監督が何を考えているのか、どういうものを撮ろうとしているのかを、いつも敏感に感じ取り、監督が納得のいくものを作っていくのが僕の俳優としての仕事だと思っている。それは主体性がないと言う人もいるかもしれませんが、どこか共通認識があるから「あいつとまたやりたいな」と思って呼んでもらえるんじゃないかな。あとは、「あいつだったら、やってくれるだろう」と、以前の自分よりも期待をしてくれているんだと思う。ダメだったらもう呼ばれなくなるので、嬉しい半面、プレッシャーもありますね。こういうことの蓄積ですね。それが財産になる。

僕らは、新人でもベテランでも初めて見る台本を覚える作業はいくつになっても変わらなく大変ですが、いつも台本に対しては新人の頃のように「初めまして」と思いながら読んでいます。大変だけど、出会いややってきたことの蓄積は確実にできる。それをどんどん貯めていきたいです。

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【向井理 プロフィール】
1982年生まれ、神奈川県出身。06年にデビュー。主な映画出演作は、『ガチ☆ボーイ』(08)、『BECK』(10)、『新しい靴を買わなくちゃ』(12)、『きいろいゾウ』(13)、『劇場版SPEC~結~』(13)、『小野寺の弟・小野寺の姉』(14)、『S‐最後の警官‐RECOVERY OF OUR FUTURE』『天空の蜂』(15)、『信長協奏曲』(16)など。堤幸彦監督が演出を担当した舞台「悼む人」(12)にも出演している。11年『僕たちは世界を変えることができない。』で映画初出演をつとめる。本作では堤ワールドにどっぷりと浸る演技で新機軸を切り開いた。

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映画『RANMARU 神の舌を持つ男』
【物語】
「絶対舌感」という特殊能力を持つ男・朝永蘭丸(向井理)は、唯一、口内細菌を気にすることなくキスできる相手に失恋し、傷心の旅の途中、行き倒れてしまう。気がつくと、そこは怪しげな鬼灯(ルビ:ほおずき)村。人工呼吸された時、その口内の細菌になぜか不快感のなかった女医・りん(木村多江)に興味をもった蘭丸は、伝説の三助として語り継がれる「大津のヘースケ」の孫であることを生かして、村の温泉で働くことにする。甕棺墓光(木村文乃)と宮沢寛治(佐藤二朗)が蘭丸を追って村にやって来た頃、村の空気は次第に不穏さを増していく。鬼灯村は玄武岩が多い土地柄で良い成分の水が沸く。その為、住民たちは温泉で村おこしをしようと試みていたものの、最近、黒水が出て対処に追われる上に、不吉な鬼火が目撃され、さらには秘かに語り継がれていた「子殺しの温泉」という曰くつきの悪評が明るみに出て、問題てんこもり。村が大騒ぎになっていた頃、大陥没地帯で遺体が発見された!殺されたのはりんと恋仲だと噂されていた卜真(うらない・まこと)だったことから、たちまちりんに疑惑の目が向けられる。りんは事件と関係しているのか?不吉なことが次々と起る理由は一体……?そして、りんを責めるように老婆たちが集まって歌い踊る妖しい「かごめかごめ」に隠された謎とは……?蘭丸の舌が、封印された村の秘密を明るみにする!

出演:向井 理 木村文乃 佐藤二朗 木村多江 市原隼人 財前直見 黒谷友香
原案・監督:堤幸彦
脚本:櫻井武晴
音楽:荻野清子
主題歌:坂本冬美「女は抱かれて鮎になる」(ユニバーサル ミュージック)
原作:TBSテレビ ドラマ「神の舌を持つ男」
配給:松竹
公式サイト:http://ranmaru-movie.jp
©2016 RANMARUとゆかいな仲間たち

12月3日(土)全国ロードショー

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